追憶の恋（１７)
ヒョリンについて・・・ 映像科や舞踏科で起きていたこと、当時の様子。 そして、最後に反省を見せたこと。 御曹司達や皇太子から話を聞いて、美術科出身の二人の女子は完全に驚いていた。 自分達が見知っていたこととのギャップが大きすぎて、にわかには信じられないほどだ。 「意外過ぎて、言葉が出ないわ！皇室マニアの子達は、凄くヒョリンに嫉妬してたのよ！完全に皇子の恋人だと思って・・・。」...
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その日。 皇太子の友人達は、昨日と同じく離宮のプライベートビーチに集まっていた。 夏の日差しはまだまだ眩しいのに、浜辺の雰囲気はどんよりしている。 それは、皇子のシンが、まったくもって元気がないからだ。 ギョンがふざけても、シンは無反応。 無視され続けて、ギョンの口数も減っていく。 「もう・・・、シン！いい加減に元気をだせよ！せっかくアヒルが、シンの静養を計画したんだから！」 「え？チェギョンが？」...
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「シン君？」 後ろから声を掛けられ、シンは恐る恐る振り向いた。 「どうしたの、こんなところで・・・。だれか、お見送り？」 「チェギョン・・・、ガンヒョンに聞いた・・・、フランスに、行くのか？」 「うん、そうなの。急なことで・・・。」 「どうしても、行くのか？」 「うん・・・。シン君、どうかしたの？」 可愛らしく小首を傾げるチェギョン。 シンは数歩進んで、チェギョンの目の前に立った。...
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「もしもし、シン君。この間はごめんね。空港であまり話が出来なくて・・・。」 たった一週間だと言うのに、チェギョンの声がやけに懐かしく聞こえた。 やっと帰国したチェギョンからの電話。 フランスに居る間は、国際電話の通信に不具合が生じ、なかなか話をすることが出来なかったのだ。 「僕の方こそ、一方的に話してしまって、すまなかった。」 「ううん・・・。」 「仕事は順調か？」...
View Article追憶の恋（２１）
街角の可愛らしいショップ。 輸入雑貨を扱った小さな店のドアを、その雰囲気に似合わぬ男が押し開けた。 煤けたジャケットを羽織り、同じ色合いのキャップを目深にかぶって、その上眼鏡をかけているので、まるで人相を誤魔化しているかのごとく雰囲気が怪しい。 辺りを気にしながら入店したが、幸いその時は、店内に客はいなかった。 「いらっしゃいませ！」 「あの・・、いつもの、バスソルトを・・・。」...
View Article追憶の恋（２２）)
日差しを感じて、チェギョンが目を覚ました。 目に入ってきた景色が、自宅の部屋とは違うことに気がついて、一瞬、自分がどこに居るのか分からず、「え？」と驚いた。 けれど、重厚な設えの家具や天井を見て、直ぐに海の離宮に来ていることを思い出す。 それにしても・・・ 「どうして、こんなところに寝ているの？」 リビングのソファに横になっている状況が、理解できない。 「夕べ、どうしたんだっけ？」...
View Article追憶の恋（２３）
「・・・ん、・・・くふっ・・・、ふっ・・・。」 薄暗い間接照明の部屋に、切ない吐息が揺れている。 離宮で過ごす、二日目の夜。 シンとチェギョは、ついに男女の一線を越える時を迎えて居た。 夕食後、お互い『その期待』に気恥ずかしさがあり、あまり会話もないまま、それぞれの寝室に入ってしまった。 そして時を見計らって、シンがチェギョンの部屋を訪れたのだ。...
View Article追憶の恋（２４）
秋。店 “宮”により皇太子の婚約が発表されると、世間は大変な騒ぎとなった。 お相手は、高校時代の同級生。 しかもショップのアルバイト店員という、あまりに庶民的な身の上に、お妃としての資質を疑う者は少なくない。 それは大抵、体裁を気にする大人たちの意見で、実は、若者たちには高評価だった。...
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おそらく、最後のご挨拶！
皆さま、本当に本当にご無沙汰しております。お陰様で私は元気にしております。家族や仕事、自分の人生、色々悩ましいことはありますが、悩むと言うことは考えると言う事、考えると言うことは意識があると言う事。意識があるのですから、私は「生きて」いるのでしょう。...
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