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Channel: 小夜乃(さよの)の別館
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『許嫁』と呼ばないで(14)

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今、皇子とヒョリンの関係がどうなっているのか、私にはよく分からなかった。

けれど、皇子が寂しい心を抱えているということは、確かに背中から伝わって来る。
僅かな振動が、泣いているように感じるの。


「ごめんね、私、シン君を苦しめるつもりなんてないのよ。私って、ホント、頭悪いから、全然気づかなかった!でも、人を傷つけて気付かないなんて、最低だわ。本当に、ごめんなさい!」


皇子は黙ったまま・・・。
抱きついてお腹に回した手に、皇子の掌が重なった。


「チェギョン、おまえが悪いんじゃない。違うんだ。」
「シン君・・・。」

皇子が私の手を解いて、振り向いた。


「おまえは、正しいことを言っていた。僕が、勝手に落ち込んでいただけ・・・。」
「勝手に?」

「おい、許嫁。」
「へ?」
「僕は、今、寒いんだ・・・。」
「うん・・・、背中、暖める?」
「いや、今度は前だ!」


皇子の両腕にふわっと体を包まれたかと思ったら、くっと抱きしめられた。


「最初にここで、おまえが背中を暖めてくれた時も、ヒョリンと話をした後だった。」
「そうだったの?」
「プロポーズの件で、僕とヒョリンには、見解の相違がある。」


見解の相違って・・・、また、お堅い言葉だ。


「プロポーズのことは、すぐに僕の中で『終ったこと』になっていた。断られて、気恥ずかしい気持ちもあったけど、ヒョリンはそれまでと同じ態度で、それは、振った皇子に対する気遣いだと感謝していた。」


皇子の腕の中で、ヒョリンとの関係を聞くのは,少し苦しい。
でも、今私は、慰め役だ。
皇子の背中に手を回して、そっと さすった。


「『プロポーズ』や『好きな人』という言葉は、終ったことを蒸し返されているようで、イラついた。自分の冷たさを指摘されていると感じて、辛かった。でも、それは、自分の軽さのせいだから、おまえのせいじゃない。」


そういえば、ヒョリンの事を話す度、皇子はいつも怒っていた。


「あの日、ヒョリンが言ったんだ。『プロポーズするほど思ってくれるなんて嬉しい。』『シンとの未来も、私の夢よ。』って。
それを聞いて、愕然とした。終わったことだと思っていたのに、二人の未来を語られて、戸惑ったんだ。」
「シン君・・・。」
「確かに、好きだったかもしれない。ガールフレンドと呼べるような存在は、彼女だけだったから。『美人の彼女』と言われれば、少し鼻が高い気分にもなっていた。バレエも心から応援していたし、気心の知れた友人であったことは、間違いない。」


皇子の、ヒョリンへの想いを聞くのは、やはり辛い。


「僕は、”宮”の中で自分の立場に悩んでいた。だからプロポーズして、お妃を自分で決めると言う能動的な行動を取ることで、自分の意思を示そうとした。
でも、断られた時のヒョリンの言葉は、素直に納得出来るものだった。彼女の夢を奪うようなことはすべきじゃないし、彼女の人生の責任を背負う覚悟など、これっぽっちも無かったから。」


能動的?えっと・・・なんだっけ?


「少し焦っていた。その気にさせておいて、振り向いたら背を向ける、そんな勝手な男になっている自分が情けなくて・・・、冷汗が出ていたんだ。」
「暖まりたいって・・・、本当だったのね?」

「あの時、おまえの顔を見たら、”宮”の庭で一緒にのんびりした気楽な雰囲気を思い出して、その空気に浸りたくなった。」
「私、いっつも、能天気だもんね。」
「寒いの?って聞かれて、本心を見抜かれたようで驚いた。」
「そう、だったの?」
「暖めてあげようか?って言われて、本当に、暖まりたいと思ったんだ。」
「半分、冗談だったんだけど・・・。」

「ふっ、さすが『許嫁』だな。」
「え?」
「お祖父様の声が聞こえる。」
「それは、本当に冗談よ!」
「いや、きっとお前は聞いたんだ。『許嫁よ、太子を暖めよ』」
「シン君・・・。」
「おまえは、ホント、面白くて・・・、あったかい!」


皇子がさらに力を込めて、私を抱きしめた。
私も思い切り、皇子の背中に抱きついた。


自分の中の母性本能が、これほどのものとは思わなかった。
偉そうに大人ぶった、この大きな子どもを、思い切り暖めてあげたい!


そして、さらに気付いたこと。
抱き合う体温の交流は、こんなにも心を幸せにするものなんだ!



しばらくすると、皇子の力が抜けて、体が解放された。


「シン君・・・、本当に、ヒョリンには夢を叶えて欲しいのね?」
「ああ。」
「本当に、本当に、ヒョリンとの未来は考えていないのね?」
「本当だ。」
「じゃあ・・・、私・・・、『許嫁』になってあげる。」
「今も、『許嫁』だろう?まだ・・・。」
「ヒョリンに宣言したでしょう?私、否定しないよ。ヒョリンに聞かれたら、シン君の『許嫁』だって宣言する。それでも、大丈夫?」
「おまえは、それでもいいのか?」
「うん、先帝様が言ってるの。」
「え?」
「『許嫁』よ、太子の窮地を救うのじゃ!」
「ぷっ・・・、何だ、それ?」


皇太子が笑ってる。
私、とっても嬉しい。

この笑顔が見られるのなら、すべてを投げ出しても構わない!

いや・・・、『すべて』は、言い過ぎだな。




「ん?これは何だ?」

皇子が拾い上げたのは、私が書いた皇太后様へのお手紙!
抱き合うドサクサに、ポケットから落ちたらしい。

まだ、封をしていなかった!


「あ、見ちゃダメ!」
「おまえのか?ふっ、見るなと言われると、見たくなる!」
「ダメだったら~!」


こういう時、長身は卑怯だ!
手を伸ばしても、全然届かないところで手紙を広げて、皇子は勝手に読み始めている。
他人の手紙を勝手に読むなんて、犯罪よーっ!


「おまえ・・・、お祖母様に、僕との付き合いを断る手紙を書いたのか?」
「ねえ、返してったらー!」
「好きな人が出来ました?ふんっ、誰だ?」
「誰って、そんなこと、シン君には関係ないでしょう?」
「関係ないことは無い!教えろ、好きな奴って、誰なんだ?」
「言いたくない!」
「言え!」
「知ってどうするのよ!」
「僕はおまえの『許嫁』だ。知る権利がある!」
「そんなの、横暴よ!」

「とにかく、いずれ必ず、確認するからな。覚悟しておけ!」
「確認?」
「好きな男の名だ!」



ひ~~~~~っ!


絶体、言うもんか-!!!





---to be continued



なんか・・・、バタバタした感じですみません。

今日はこれから、ちょびっと、飲みに行きます。
リコメ、無いと思いまーす!


(^^)/

『許嫁』と呼ばないで(15)

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せっかく書いた手紙を奪われて悔しいけど、
今は、まだ!私はシン君の『許嫁』

シン君の窮地を救うべく、その務めを果たそうと、私は意欲を燃やしていた。


ヒョリンには、皇太子との結婚を諦めて、なんとしても、バレリーナへの夢を叶えてもらわなければ困るのよ。
そうすることで、皇子の心は救われるのだから!


舞踏科に知り合いはいない。
話をしたことも無い相手に、どうやって声をかけようかと悩みながら、放課後のレッスン場へ行こうとしたら、ヒョリンの方が先に美術科に現れた。


「チェギョン・・・少し、話が出来るかしら?」
「ええ、いいわよ、ヒョリン。」


誘われて、音楽室の奥で立ち話することになった。
ここも、ある程度壁に防音処理がされているから、秘密の話をするには都合がいい。


「あなた、皇太后様の友人なんですってね?シンの誕生日パーティーで、インやギョンから聞いたわ。」

美人の真剣な表情って、怖いものなんだな・・・、ちょっと、気圧されちゃう。

「私のおじいちゃんと先帝様の縁よ。でも、本当は、私・・・、ゴクリ・・・、皇太子の許嫁なの!」

他人にこんな宣言をするなんて、ドキドキする!
しかも、相手は、皇太子の元カノよ!


「シンは、皇太后様のご指示で許嫁との結婚を決めたのね。でもそれって、シンの本心なのかしら?」
「本心?」
「許嫁を無理矢理押し付けられて・・・。シンは、皇太子としての立場があるから、断れないんでしょうね。」
「無理矢理だなんて、失礼なこと言わないで!シン君は、自分の意思で結婚を決めたのよ!」


何、力入っちゃってるんだろう?
結婚なんて、決めてないのに・・・。


「自分の意思?ふふっ・・・、あなたはシンの事、何も分かっていないのよ。彼は、私にプロポーズしたのよ!」

ヒョリンは、私が立ち聞きしていたことを知らないのね。

胸を張って、少し顎が上がって、こちらを見下すような態度。
皇子に告られたことを、自慢しているみたい。


「知ってるわ。でも、ヒョリンは断ったんでしょう?」
「え、知ってるの?」
「そうよ、シン君は、私には何でも話してくれるの。”宮”の言いなりになるのが嫌で、ガールフレンドにプロポーズしちゃったけど、後悔してると言っていたわ。」
「こ、後悔ですって?」

「そうなの、軽い気持ちで結婚を口にして、その気にさせちゃって、悪いことをしたって言ってたわ。」
「軽い・・・、気持ち・・・。」
「何度も『もう、終わったことだ』って言ったのに、いつまでもしつこく付きまとわれて、困ってるのよ。」
「そんな・・・、そんなはずないわ!あなたなんかに、シンの本当の気持ちは分からない。シンは、私の夢のために、愛を諦めようとしているだけよ。」

「ヒョリン・・・。」
「シンは、本当は私を愛してくれている!だから、私は、彼の愛に応えるために、夢を諦めようと決心したの!」


ヒョリンの訴えが、ズンズンと胸に響いた。
夢を捨ててまで、愛に生きようとしている彼女の言葉が迫って来て、押し負けしそうだ。
でも、ここで踏ん張って、『許嫁』の務めを果たさなければ!


「もちろん、結婚を口にしたシン君にも責任がある。でも、断ったヒョリンにも、自分の発言に責任があるでしょう?」
「責任?」
「断ったのは、夢のため。それは、正しいことだと思うわ。夢も愛も、両方求めることだって、間違いじゃない。でも、それは、お互いに求めてこそよ。シン君は、求めていない。」
「あなたに、何が分かるって言うの?」

「シン君は、心から、ヒョリンの夢を応援してる。それは確かなことなのよ。でも、シン君にとって、夢を追わないヒョリンは・・・。」
「夢を追わない私が、何だって言うの?」

「シン君は、きっと、夢を追っているヒョリンが好きだったのよ。」

「!」



私、何言ってるんだろう?
皇子の気持ちを勝手に決めてつけて、勝手に代弁するようなこと・・・。


「ヒョリンが夢のチャンスを放棄したりしたら、シン君が苦しむわ。自分の責任だと思って、一生、重荷を背負うことになる。それでもヒョリンにそばに居て欲しいとは・・・、そうは思っていないみたい。」

「あなた・・・、シンが私のことを好きだったと知っても、平気なの?」
「愛には、いろいろな形がある。シン君と私には・・・、二人に相応しい愛の形があると思っているわ!」


シン君との愛・・・。
存在しない物を、こんなに熱く語るなんて、私って、詐欺師の素質があるのだろうか?


皇子の愛を手放せと、必死でヒョリンを説得しているけど、彼女が手放した愛は、
どこへ飛んで行ってしまうのか?




熱い論戦を繰り広げていたら、少し興奮しているのか、どんどん、体に熱を帯びて来た。
変な汗までかいている。


「と、とにかく、留学を止めるなんて言わないで。すぐに手続きをした方がいいわ。」
「私、認めないわ。あなたみたいな人が、お妃だなんて・・・。」
「え?」
「ダサイ恰好でパーティーに参加して、安物の靴なんかプレゼントして、全然、お妃に相応しくない!」

「ヒョリン?」
「私の方が、ずっとお妃に相応しいわ!お妃の座を、あなたなんかに渡すものですか!」


ヒョリンの手が、私の肩に触れた瞬間。

「ヒョリンっ!そこまでだ!」

男性の叫びが音楽室に響いた。
それは、いつのまにか音楽室に入っていた皇子だった。

皇子の姿に気を取られた私の肩を、ヒョリンがドンと押した。

叫ぶ声と動作が、一瞬に混ざった出来事だった。


女性の力で軽く押されただけだから、踏ん張って耐えたつもりだったのに、
何故か力が抜けて、私はすとんとその場に座り込んでしまった。

「チェギョンっ!」
「シン君?」
「凄い汗だ、チェギョン、熱があるじゃないか?」


皇子に体を支えられ、でも体に力が入らない。


そうか・・・、実は、今朝から少し寒気がしていた。ここのところ、いろいろ考え過ぎて、睡眠不足だったし・・・。
風邪を引いちゃったかな?


「シン君・・・、風邪かもしれないから、近づかないで・・・。」
「何言ってんだ?立てないじゃないか?」
「大丈夫よ、これくらい・・・。」


言いながら、私は皇子の腕の中でぐったりしていた、
見上げると、ヒョリンが驚いたような表情で見下ろしている。


「わ、私は、何も・・・。」
「ヒョリンのせいじゃないよ・・・、気にしないで・・・・。」


あれ?ヒョリンの顔が消えた・・・
体がふわりと浮いた感じ・・・



どうやら私は、皇子に抱えられて、どこかに運ばれているようだ・・・




---to be continued

『許嫁』と呼ばないで(16)

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朦朧として、意識がはっきりしない。
どこかに寝かされたようだけど・・・。

ウトウトしてから、人の声でまた意識が戻った。

ここは・・・、この匂い・・・、保健室だな・・・
カーテンの向こうで、誰かが話をしている・・・


「あの子、大丈夫なの?」
「ああ、もうすぐ、父親が迎えに来るそうだ。病院に連れて行くって・・・。」
「そう・・、私、乱暴するつもりなんて無かったのよ。倒れるなんて・・・。」
「おそらく風邪で高熱が出たんだろう。ヒョリンのせいではないと思うが、君があんな風に手を出すなんて意外だ。随分と感情的になっていたな。」

「シン・・・、本当に、あの子と結婚する気?」
「ああ・・・、そのつもりだ。」
「わたしのこと、後悔してるって・・・。そう言われたわ。」
「すまない・・・、それも、本当だ。」

「本気じゃなかったってこと?」
「ヒョリンに断られて、その後すぐに『許嫁』の存在を知った。君に対して本気で未練があれば、もう一度 申し込んだはずだ。他の女とは、結婚したくない、と言って・・・。」
「そうはならなかった、というわけね。」
「その気にさせておいて、すまないと思っている。でも、君も断っているのだから、正直なところ、お互い様だと言う気持ちもある。」


「そう・・・、私だけ、勝手に盛り上がっていたのね。皇子の愛に応えようと・・・。」
「ヒョリン、君の気持ちは、本当に愛か?」
「え?」
「さっき、チェギョンを突き飛ばそうとした時、『お妃の座は渡さない。』と言ったよな?」

「あ、あれは・・・。」
「君は、愛じゃなくて、お妃の座に魅力を感じただけじゃないのか?」
「そんなこと・・・。」
「プロポーズを断ってから、冷静になってみれば、またとないチャンスをかも知れないと気づいて・・・。」
「シン、そんな言い方、ひどいわ!」

「ヒョリン・・・、僕は君の事が好きだったかもしれない。でも、それは、愛の意味も知らない子供の憧れのようなもので、君の真実さえ僕は見ていなかった。」
「真実?」

「僕の誕生日パーティーで、チェギョンの靴を笑っただろう?さっきも、安物を贈ったって・・・。」
「だって、皇太子にあんなものを贈るなんて・・・。」
「そう言う価値観は、お妃には相応しくない。」
「え?」
「庶民だからと、見下したような態度をとったり、人の贈り物を馬鹿にしたり、君がそういう女性だと知って落胆したよ。プロポーズをした相手の事を、何も知らなかったのだと、自分に呆れた。」
「シン・・・。」

「君を責めるようなことは、出来ればしたくなかった。けれどそれは、自分の過ちを隠そうとする『逃げ』だったんだ。」
「ふっ・・・、いつも、『終わったことだ』と繰り返していたわね。私は、シンが、夢を尊重するために、愛を犠牲にしようとしているのだとばかり・・・。」
「夢を追って欲しい。悔いが残らないように・・・。」
「あなたの人生に、私は必要ない、ということね。あの子のことは、本気なの?」

「ああ・・・、本気だ。」
「そう・・・、そういうことを、誤魔化さず、はっきり言うなんて、よっぽど好きなのね。私にプロポーズしたばかりなのに、なんだか、バカにされた気分だわ。」



熱に浮かされて、意識がはっきりしない中で、自分とは関係の無い話のように、ただ耳に入っていた会話。

皇子の言葉も、内容が理解出来ない。




「し、失礼します・・・、娘が倒れたと聞いたんですが・・・。」
「あ、シン・チェギョンさんのお父様ですね?今、保健の先生を呼んで来ます。」


カーテンの向こうで、バタバタと人の気配がして、そのうち、パパがそーっと中を覗いて来た。

「チェギョン、大丈夫か?」
「パパ・・・、ごめんね・・・、熱が出ちゃった・・・。」
「すぐに病院に行こう。」
「うん・・・。」


パパに体を支えられて、私は学校を後にして、病院に向かったの。
皇子とヒョリンは、心配そうに見送ってくれていた。


原因は単なる風邪で、熱が高いからって点滴をしてくれると、ずいぶん楽になった。


それでもまだ、体がふわふわとして、思考は回らず、久しぶりに何も考えること無く眠りに落ちて、熟睡した。

最近は、色々と考え過ぎて、頭がパンクしそうだったから、
高熱は、そのせいもあったのかもしれないな。



ぐっすり眠って目が覚めると、今までの事が、まるで夢だったように感じる。

バケツの事件も、プロポーズの目撃も、人差し指に奪われたファーストキスも、
シン君の背中も腕の中も、ヒョリンとの対決(?)も、そして、『許嫁』も・・・

学校に行けば、シン君の前に立っても『お前、誰だ?』という顔をされて、
ヒョリンに会っても、横目でチラ見しただけですれ違ったり、
そんな風になるような気がするほど、現実離れした出来事だったように感じるの。



でも、やっぱりあれは、夢じゃない。


學校を一日休むと、クラスメートが心配してくれて、それに答えていると、ヒョリンが教室に現れた。


「大丈夫だった?」
「う、うん。心配かけてごめんね、ヒョリン。」
「いいのよ、私の方こそ、悪かったわ。」
「あの・・・、色々ひどい事を言って・・・。」
「ひどいこと?ふふっ、あなたの言っていたことは、全部本当のことでしょう? いいのよ、シンとも話をして、すべて終わったわ。」
「終わった?」
「私、来月、留学するの。フランスよ。」
「そう・・・、おめでとう。」

「私だって、本気だったのよ。」
「え?」
「シンの事、お願いね。」
「ヒョリン?」


ヒョリンは、ふっと笑って背を向けた。


私はなんだか申し訳ない気分になっていた。
全部本当のこと・・・、それは、違うから。
ヒョリンを諦めされるために、たくさん嘘をついた。
シン君の事をお願いされても、『許嫁』は期間限定だし・・・。


留学先で、本当の事を知ったら、ヒョリン、怒るだろうな・・・。



その後、なんとなく予感がして、特別室に足を運んだ。
思った通り、皇子が居た。


「シン君・・・、さっき、ヒョリンが来たよ。」
「そうか・・・。おまえは、体、大丈夫か?」
「うん、もう、治った。」
「そうか・・・。」


ヒョリンに申し訳ないような気がして、皇子に近づくことが出来なかった。

嘘を並べ立て、ヒョリンを皇子から引きはがし、代わりに自分がその場に身を置くなんて、図々しいと感じて・・・。


「チェギョン、イヤな役回りをさせて、すまなかった。」
「シン君、ヒョリンと私が音楽室に居るって、知ってたの?」
「おまえの言っていたことが気になって、美術科に行ったんだ。そうしたら、ガンヒョンが、おまえとヒョリンが一緒に消えたと、教えてくれた。音楽室は防音が聞くから、もしかしてと思って行ってみた。」
「そう・・・。」

「初めからじゃないけど、二人の話は聞いていた。」
「ヒョリンとは、ちゃんと話、出来た?」
「ああ、納得してくれたようだ。」
「私にも、そう言ってた。これで、解決したね。」
「まあ、な。」


「ヒョリンがフランスに出発したら、私・・・、皇太后様にご挨拶に行くわ。」
「チェギョン?」
「お手紙は、シン君に取られちゃったから、自分の口でちゃんと言う。」
「何を?」

「好きな人が出来て苦しいから、『許嫁』を辞めるって。」
「な・・・。好きな人って、誰だよ!」
「言わないって、言ったでしょう?」
「必ず確認すると、言ったはずだっ!」

「言わないよーっだ!」

迫り来る皇子につかまらないように、防音の扉を開けて部屋から飛び出した。


「チェギョンっ!」

後ろに皇子の声がしたけど、止まらず走り続けた。



皇子のプロポーズを断って、未来に旅立つヒョリンと同じように、
結婚を断った『許嫁』シン・チェギョンも、新しい出発をしなくっちゃ。



胸に手を当てれば、制服のブラウスの下には、おじいちゃんの形見がある。


丸い跡が皮膚に残りそうなほど、上から強く押さえつけた。






---to be continued

『許婚』と呼ばないで(17)

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「ヒョリン、頑張ってね。」
「ありがとう、チェギョン。あなたも・・・。」


周りには御曹司達も居たから、シン君の名を出すことはしなかった。
ただでさえ彼らは、どうして私がヒョリンを見送りに来ているのか?不思議そうな顔で様子を見ているんだもの。


ここは、空港の出発ロビー。

これから、ヒョリンはフランスに向けて旅立つの。
ほんの短い関わりだったけど、ヒョリンという存在は、私の中では、かなりのウェイトを占めていた。

その姿だけで、私の心をいろいろな形に変化させた人だった。


笑顔で手を振っていたヒョリンの背中を見送って、出発ゲートをしばらく見つめた。

カン・インは、チラッと私を見ただけだったけど、チャン・ギョンが、
「なあ、アヒル。ガンヒョンは元気かい?」と、ご機嫌を伺うように聞いて来た。

「自分で確かめたらいいでしょう?」
「彼女は僕が近づくと、顔を背けて無視するんだ。なんとか、とり持ってくれないか?」
「自力で頑張りなさい!」
「冷たいなぁ・・・。」


今私は、人の恋愛を取り持っている余裕などないの。
自分の事で精一杯。




空港の屋上に上がって、ヒョリンの乗った飛行機が飛ぶのを見ていた。

世界に羽ばたこうとしている彼女が、少し羨ましい。
恋は実らなかったけど、彼女には、大きな夢がある。


そうよ、お妃の器は、あなたには小さいの。
そして、私には・・・遠い。


「さてと!私も出発するとしますか!」

勢いよく振り向くと、そこに、キャップを被った長身の男が立っていた。


完全に怪しい。
そして、バレバレよ。


「どこに出発するんだ?」
「来てたんなら、ヒョリンに会えばいいのに・・・。」
「挨拶は済ませている。それより、行き先はどこだ?」
「何が?」
「出発すると言ってただろう?」
「人生の出発よ。何処って訳じゃないわ。」
「どんな人生だ?」
「普通よ。ごく普通の人生。」


そう・・・、あの門の向こう側ではなくて、門のこちら側。
守衛のお兄さんが顔を向けている外側が、私の世界。


「送って行く。」
「へ?」
「車で来てる。送って行く。」

くるりと踵を返して、歩き出した。

どうして、人の返事を聞かないの?
勝手すぎるわ!

「おい、早く来い!」

で、ついて行く私もどうかしている。



高級車の助手席の乗り心地は最高だ。

車窓の風景が、どんどん流れていく。
次々と、その先も、あの先も、直ぐに目の前に来ては、後ろに流れ去って行った。


私も、流してしまおう。

少し、未練があった。
グズグズと、その日をいつにするか決めずに先延ばしにして、
繋がっていたい気持ちを抱え込んでいたの。

でも、今日、このまま向かえば、面倒な段取りをしなくて済む。
皇子に連絡してもらえば、直ぐに通じるのだから・・・。

胸元に手を置いて、丸い形を手のひらに感じた。

おじいちゃん・・・


「自宅でいいのか?」
「・・・。」
「ん?どこか、寄るところでもあるのか?送るぞ。」
「宮殿・・・、宮殿に連れて行って・・・。」
「・・・。分かった。」


その後は、一言も話さなかった。
皇子は、私のこの後の行動を、察してくれているのだろう。


あ・・・、でも、失敗したかも。


これでは、あの門をまたぐ儀式が出来ないわ。
門番のお兄さんに挨拶できない。

ま、いいか。
帰る時に、しっかりと挨拶しよう。




「なんでよ~、私は正殿に行くのよ!皇太后様にお話があるんだから!」
「お祖母様は、今日は外出されている。夜にならないと戻らない。」
「なら、言ってよね!」


気持ちを落ち着けようと、宮殿に入る頃には目を瞑っていた。
車が停まって目を開けると、そこは東宮殿の車寄せで、さっさと下りた皇子は、スタスタ建物の中に入ってしまい、私は女官のお姉さんに案内されて、仕方なくパビリオンへと入ったの。


「お祖母様に用だとは、言わなかっただろう?おまえは、行き先を“宮殿”と言っただけだ。ここも宮殿の中だ。」
「もう、へ理屈ばっかり!分かってたんでしょう?私が皇太后様に会おうとしてるってこと!ズルいよ、シン君!」
「ずるいとは何だ?この国の皇太子に向かって!」
「皇太子だろうと皇帝だろうと、ずるいものは、ずるい!」


本当にこの皇子は、どこまで意地悪なのかしら?


「おまえ・・・、この間言ってたこと、お祖母様に言うつもりか?」
「そうよ、ちゃんとけじめをつけるのよ。」
「教えろ。」
「へ?」
「好きな奴って、だれだ?」
「言わない!」
「言え!」
「やだっ!」


本人の前で、言えるわけない、言いたくない!

この高ピシャな皇子の前で、哀れな自分を晒したくないの。
強がりを通して、さっぱりとした表情で、ここを後にするのよ!



あれ?
いつの間にか皇子が居ない。

自分の部屋に行っちゃった?


皇太子の部屋を覗くのは気が引けたけど、中途半端に開いたままのガラス扉から、そーっと頭を入れて中を見ると、奥の方に、隠れ家のような空間があって、そこから皇子が現れた。


手に箱のようなものを持っていて、覗いている私をチラリとみると、ふたを開けてベッドの上に逆さにかざした。

中から、バラバラと紙が落ちて来て、ベッドの上に散らばっている。

一体、何だろう?

部屋の中に進んでも、皇子は何も言葉を発しない。
私はさらに進んで、ベッドの前に立った。


箱を逆さにしたから、ほとんどは裏返しになっているけど、そのうちの数枚は、表を向いていた。
それは女性の写真だった。


「何よ、これ・・・。」


次々手に取って、裏になっている物も確かめた。
そのほとんどに、憶えがある。


”宮”の庭でスケッチをしている時、皇子にレンズを向けられたことがあった。
面白い顔だと、後でからかわれるのだろうと、不貞腐れながら無視していた。

その時撮られたらしい写真が、ベッドにばらまかれている。
けれど、数枚は、覚えがない。

制服を着ているから、おそらく学校だ。

「何?隠し通りしてたの?」


皇子を見上げても、無表情で黙っている。

普通、こういう時って、照れるものじゃないの?
何で、怒ったような顔なのよ!


その皇子の背後には、さっき本人が出て来た小部屋が見えた。

なんとなく気になって、そちらに進んでも、皇子はそれを咎めない。

そーっと中を覗くと、赤いライトが部屋を怪しく染めて、ここは暗室なのだと素人の私にもすぐに分かる。

そこには、細いロープが張られ、ピンチで止められた紙が何枚もぶら下がっていた。


全部、私だ。

写真に触れたせいで、赤く染まった何人もの私が、
ふざけた様にふらふら宙に踊っている。



何なのこれ?

なんで私が、こんな場所を占領しているのよ!!!






---to be continued




このシン&チェは、相当に素直じゃない!ことを、ご了承ください。

m(__)m

『許嫁』と呼ばないで(18)

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暗室にぶら下がる、私、私、私・・・
後ずさるように赤い部屋を出た。

「皇太子に、ここまでさせたんだ。責任とれよ。」
「責任って・・・、何の責任よ!」
「『許嫁』の務めだ!」
「は?」
「暖めてくれ。」
「たくさん、暖めてあげたでしょう?それに、問題は解決したわ。ヒョリンは留学したんだし・・・。」

ベッド脇に戻って、写真を一枚一枚、拾い集めた。
変な気分だわ。
全部自分だということは分かるけど、全部自分とは思えない。
それくらい、自分でも知らない表情を皇子に撮られていたんだ。


「どうして、こんなことをしたのか・・・、盗み撮りまで・・・。意味分かるよな?」
「何よ・・・、どんな意味よ。」
「言わせたいのか?」
「だって、分かんないもん。」

皇子が私の腕を取って、くっと握った。

「ふんっ、いくら鈍いとは言っても、これで分からないはず、ないだろう?」
「分かんないよ。」
「まだ言うか?」

ふいに腕を引かれて、バランスを崩してベッドに横になった。
そこへ皇子が覆いかぶさる!

ひ~っ、何これ?!

「言えよ!」
「へ?」
「好きな男の名前を言え!」

グッと顔が近づいたから、必死に両腕で押し戻した。

「ちょっ・・・。」
「ほら、言わないと・・・、乙女の危機だぞ!」
「う~・・・、卑怯者~~~。」
「卑怯でもなんでもいい!とにかく、白状しろ!」
「やだ~、しない~~~!」
「どうして、そう、意地を張る?!」
「意地張ってるのは、そっちでしょう?!」


必死で手を押し上げて、皇子の接近に抵抗した。
歯を喰いしばって頑張っていると、腕がプルプル震えて来た。

もうダメか!と思った時。

「は~っ!」
皇子は大きくため息をつくと、バタンとベッドに仰向けになった。

「手ごわいな・・・。」

ゆっくり体を起こして、大の字になった皇子を見下ろせば、
瞳がうつろに天井を見つめていた。


「シン君?」
「お互い、素直じゃないって、厄介だな。」
「まあ・・・、ね。」


私達は、たぶん、バカなことをしている。
意地の張り合いをしているということは、おそらく・・・明白。

明白なのに、おそらくって・・・、皇子が聞いたら、またバカにするんだろうな。



「あの・・・、殿下・・・、宜しいでしょうか?」

部屋の外から、遠慮がちな女官の声が届いた。
中の様子を察しているのか、かなり気まずそうだ。

皇子はさっと体を起こし、扉に向かった。


「殿下、皇太后様が、予定より早くお戻りになりました。チェギョン様がいらしているとお聞きになり、ぜひ会いたいと仰っています。」
「そうか、わかった。すぐに伺うと伝えてくれ。」
「畏まりました、殿下。」

皇太后様へのご挨拶。
当初の目的だったことだけど、今、どう話を切り出すか、悩みどころだ。


「おい、行くぞ。」
「う、うん・・・。」


『許嫁』を断るつもりだった。
だけど、皇子は、私の写真を隠し持っていた・・・しかも、大量に!

それを知った今、この後の行動はどうすべきだろう?

でも、皇子は何も言ってくれないし・・・。
私に言わせようとするばかりで・・・。


「まあ、チェギョンちゃん。太子と一緒に過ごしていたのですね?邪魔をして悪いけれど、顔を見たかったものだから・・・。」
「こ、こんにちは、皇太后様。」

「お祖母様、チェギョンは、話があるそうです。」
「まあ、何でしょう?」

何を言わせる気?

「チェギョンちゃん、何ですか?」
「えっと、あの・・・、その・・・。」


どうする?
言っちゃう?
『許嫁』を辞めるって、言えるの?


「あの、その・・・。」
「どうしました、チェギョンちゃん?」

皇子が、ずるい顔をしてる。
憎らしい!


「お祖母様、僕は見てしまったのです。好きな人が出来たので悩んでいる、という内容の手紙を、祖母様宛に書いているのを・・・。」
「ちょっ、シン君!」

「まあ・・・、それで、『許嫁』のことを想い悩んでいるのですか?」
「ええ、まあ、その・・・。」
「私の願いが、チェギョンちゃんの負担になるのは、心苦しい。残念ですが、仕方がないですね。」


く~・・・、どうしよう!
このままだと、『許嫁』を辞めることになる!
それでもいいの?
シン・チェギョン!


「チェギョン、お祖母様が残念がられている。せめて、その相手を教えて差し上げたらどうだ?」
「げ?教える?」
「お祖母様、お知りになりたいですよね?先帝の遺言が無になるのですから、その原因が誰なのか?」

「それは、まあ、知りたいかと聞かれれば、知りたいですが・・・。」
「ほら、チェギョン。お祖母様がお待ちだ。教えて差し上げろ。」


ちっ、くそ皇子!
ニヤッと笑っちゃって!
何を言わせる気?
こんなところで、告白をさせる気?

なんて、ずる賢い男なの???


「ほら、チェギョン?」
「えっと・・・、それは・・・、その・・・。」
「好きな男の名は?」
「それは・・・。」

いや~、どうしよう?
正直に言うなんて、悔しいよ~!!!


「それは、私が好きなのは・・・、シ、シ・・・。」

「・・・。」
「・・・。」


何かを期待して待っている時って、皇族も一般庶民も、同じような顔をするものなんだな。
身を乗り出して、エサを待つ犬みたいになってるよ。


「す、好きな、人、は・・・。シ・・・、シ・・・」


ゴクリ・・・



「チュ・ジフン氏よっ!」



「まあ!」
「!」

ぜ~、ぜ~・・・


「まあ!チュ・ジフンと言えば、前に話をしていた太子にそっくりのモデル出身の俳優ですね!少し、作品を見ましたよ!本当に似ていて驚きました。」
「・・・はい・・・。」
「そうですか!チェギョンちゃん、気にすることはありませよ、芸能人をどんなに好きになっても、罪ではありません。それに、太子にそっくりな俳優が好きだなんて・・・、もう、この際、太子で我慢なさい!ほほほほほ!」


皇子が、凄い目つきで睨んでる。
私は小さくプイッとそっぽを向いた。

「よかったこと、よかったこと!」

皇太后様は、手を叩いて笑っていた。




「ふんっ、上手く逃げたな。」
「な、何よ・・・、逃げてなんてないわ。」

東宮殿に戻って、テラスのベンチに並んで座っている私達。
チラッと横を見ると、皇子は腕組みしていて、私も同じように腕組みしてる。

「素直に認めろよ、僕の事が好きなんだろう?」
「な!どんだけ王子病なの?自惚れないでよね!」
「普通、好きでもない男の背中に抱きついたりしないだろう?」
「あれは、シン君に頼まれたから、『許嫁』の務めとして、暖めてあげただけでしょう?」
「正面からも抱き合った。あれも、単なる『務め』だというのか?」
「そ、そうよ!先帝様のご指示だわ!」


この皇子、プライドが高いのにもほどがある。
普通、告白は、男子の方からするものよ。
自分の方が優位に立とうなんて、思い通りにさせるもんですか!


唇を噛んで決意を固めていたら、くいっと皇子が向きを変え、こちらに顔を向けて来た。

止めてよ・・・、その綺麗な顔、圧倒されるわ!


「じゃあ、今すぐ、正殿に戻って言って来いよ。」
「な、なに?」
「今すぐ、お祖母様に、死んでも皇太子とは結婚しないと、言って来い!」
「な・・・、何でよ・・・。」
「僕の事は、好きじゃないんだろう?それなら、結婚はあり得ない!『許婚』も解消だ!」
「・・・。シン君が、そう望んでるのね?」
「僕じゃない!今は、おまえの話をしているんだ!」
「ずるいよ!いつだって、私のことばっかり!!!シン君はどうなのよ!」
「僕が何だって言うんだ?」
「結婚したくないなら、シン君が断って来て!ほら、今すぐ!」
「ぼ、僕は・・・、イヤだ!」
「どうしてよ!」
「そ、それは・・・。写真を見ただろう?僕の気持ちを知ってるくせに!」
「知らないわよ!何も言ってくれないもの!!!」


そんな風に、怖い顔で睨んだって、負けないんだから!


「ちっ、ほんと、素直じゃないな・・・。」
「どっちがよ!」


睨み合いは分が悪い。
この冷たく鋭い瞳は、まるで魂を吸い取られるような妖気を湛えている。

ここは、逃げるが勝ちよ!

私は、スッと立ち上がって一目散に皇子の部屋に入り、奥の暗室へ駆けこんだ。
ぶら下がっている写真をプチプチとピンチから外して抱えると、ベッドに戻って散らばっっている写真をかき集める、
さっき、二人で寝ころんで下敷きにしちゃったから、何枚も皺くちゃになっていてまとめにくい。
それでも急いで束にして、暗室の分と合わせて胸に抱えた。


「おい、それをどうする気だ?」
「返してもらうのよ!」
「僕の写真だろう?そっちこそ返せよ!」
「撮影許可は出していないわ。肖像権の行使で、写真は私のもの!」
「何が肖像権だ!偉そうに!」
「返して欲しかったら、ちゃんとお願いして。」
「お願いって、どうやって・・・。」
「自分で考えるのね!ちゃんとお願いで来たら、返してあげる。じゃあねっ。」


皇子の横をすり抜けて、パビリオンを抜けて、廊下に出て、必死で早歩き!!!


「おいっ、待て!」
ちょっと振り向くと、皇子は内官のおじさんに捕まっていた。


「コン内官、今、ちょっと立て込んでるんだ。」
「殿下、申し訳ございませんが、急ぎの決済が・・・。」


ふふふ、皇太子はお忙しいわね!
ざま~あそばせ!!!


皇子の追跡を逃れて宮殿を出ると、荘厳な門ををくぐって振り返った。


お互い様ではあるけれど、素直じゃない皇子に向かって思いっきり、
「アッカンべー!」と舌を出した。


舌をだらりと出したまま、チラッと横を見ると、護衛官のお兄さんも横目でこちらを見ていた。

あっ、やばい・・・、見られた!


お兄さんは、くっ、くっ・・・と、肩を震わせて笑いを堪えている。


「あの・・・、これって、不敬罪には、なりませんよね?」



お兄さんは、ますます体を震わせて、お腹を押さえて耐えていた。






---to be continued



あのですね・・・ホント、すみません。
これは、ほとんど、管理人のお遊びですね・・・

『許嫁』と呼ばないで(19)

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持ち帰った写真は、様々な表情の自分だ。
真剣に絵を描いているところ、風景に視線を向けているところ、何を考えているのか、間抜けな顔つきをしている物も多い。

学校で隠し撮りされたのは、もっとひどい。
大口を開けて笑っていたり、頬を膨らませたタコ口もある。
何かを口にくわえた、食い意地を張った様子まで・・・。

こんな物を眺めて、皇子はいったい何を考えていたのだろう?


「ふふっ、まさかこれは、おかずにはならないでしょう?」

皇子だって、男だ。
育ちざかりの男子の欲求を、一人ベッドで処理をすることくらいあるだろう。
私だって、それくらいの知識はあるし、それは生理的な現象だと理解している。
不潔な行為と嫌悪して否定するなんて、偏見というものだ。


けれど、女の自分が想像するに、そういう時は、悩殺的なグラビアアイドルの写真を使って刺激を受けてするものだと思っているし、自分がそう言う対象になり得るとは、思えない。

では、そういうことに使わないのだとしたら・・・


本当にあの氷の皇子が、この写真を、ある重大な意味を持って見ていたということか?

それが未だに信じられないことなのよ。

あれ程に、こちらの気持ちを確認しようとしていたのだから、そうなのかもしれないと思いつつ、やはり、それは、こちらの思考の許容を超えている。

うむ・・・、皇子の癖が移ったか?
何だか、面倒な言葉遣いをしているぞ!


今までの事を総合的に考えると、
皇太子が『許嫁』に惚れている、という結論に達する。

かなーり自惚れを排除しても、結論は同じ。
あり得ないとは思いながらも、・・・結論は同じ。

そして、自分の中で生まれた想いも、確かなこと。
皇太后様に、『許嫁』を断れないのがその証拠。


私は今、何かを解決しなければ、前に進むことも、後ろに戻ることも出来ない情況に陥っている。

まるで、吹き溜まりの雪の中!




次の日。
昼休みに映像科へ行こうかと悩みながら、廊下を歩いていると、自然と足が向くのは特別室だ。

奴は来ている・・・きっと。
それは、確信だった。



「写真、返して欲しい、シン君?」
「別に・・・、いいよ。」
「やっぱり、どうでもいい写真なのね?」
「おまえはバカか?こっちは、フィルム撮影のネガも、デジタル画像も持っているんだ。好きな時に、好きなだけ印刷できる。」
「また、バカ呼ばわり・・・。」


皇子は部屋の奥に立ち、私は扉に背を付けていた。


「こんな面倒なことは、もう止めるか?」
「ど、どういう意味?」
「はっきりさせた方がいいだろう?」
「そ、そうね・・・。」
「『許嫁』の期間を、はっきり決めよう。」
「期間を?」
「来年の、卒業までだ。卒業したらおまえは『許嫁』から解放される。」
「そう・・・。」


ついに来た。
皇子は『許婚』ごっこのお遊びを、止めることにしたようだ!
意地を張ってはいたものの、はっきりと宣言されると、こんなにも苦しい。


「あと半年もない。準備を急げよ。」
「準備って、何の?『許嫁』を辞める準備なんて、いらないでしょう?」
「次は『お妃』だ。相当、大変だぞ。」
「は?お妃?」
「『許嫁』の務めを終えて、来春おまえは『お妃』になる。」
「な・・・、どうして、そうなるの???」
「僕が決めた。」
「は?」
「きちんと準備しろよ。おまえの恥は、僕の恥だ。」
「ちょっと・・・、勝手に決めないでよ!」
「皇太子の特権だ。」
「そんなの横暴よ!そんな命令みたいなこと・・・、私はイヤっ!」
「じゃあ、命令じゃなくて、依頼ならいいのか?」
「依頼?」


長身の皇子が、静かに優雅に、近づいて来た。
身構えて、背中がピタッと扉に張り付いた。


目の前に来た皇子が、スッと体を落として、ひざまずく。
そして、なんと! 私の右手を取って、こう言った。


「僕の妃に、なって頂けませんか?」


なんでしょう、これは?
夢でしょうか?
現実でしょうか?


「返事は?」
「・・・。」
「さあ、返事を・・・。」
「ゴクリ・・・、そ、それは・・・。」


皇子は私の手を取って、切なげな瞳で見上げていた。
初めての、優位の気がする。

皇太子が、この私に、ひざまずいてお願い顔をするなんて!

「どうか、僕の妃に・・・。」

そう言うと、皇子は私の手の甲にキスをした!


ひ~っ、信じられない・・・、夢としか思えない・・・
こんな状況・・・あり得ない!



ふわふわと、体も心も宙に浮いたような状態になって、返事をすることを忘れていた。

するといきなり、皇子が立ち上がり、眼前に端整な顔が迫って来た。


「おい!ここまで言ってもダメなのか?!」
「へ?」
「返事もしないなんて、どこまで僕を、手玉に取る気だ!」
「はい?手玉?」
「僕の気持ちを知っていながら、そうやって、焦らせて・・・。おまえは、どこまで、僕を馬鹿にしたら気が済むんだ!」
「バカにって・・・、いつも人を馬鹿にしているのは、そっちでしょう?」


ついさっき、ほんの一瞬前は、ステキにプロポーズされてたはずなのに、
なんで今は、こんな風に怒られてるの?


「は~っ、一体、どうしろって言うんだ?!」

皇子は、バンっと扉に片手をつくと、ギリっと睨みを聞かせて来た。


これって・・・、壁ドン?
確かに、ドキドキする!


「いいか?これが僕の気持ちだ!」


皇子の片手が頬に添えられて、同時に顔が接近した。


息を飲む間もなく塞がれた唇!!!


押し付けられた感触は、初めての現象を私にもたらした。
触れている場所から、全身にジュワーって広がるものが何なのか?表現出来ない。

痺れているのとも違うし、ふわふわとかいう穏やかな感じでもない。
でも、強さとか、優しさとか、そういうものは混ざっている気がする。


考えようにも思考が混ぜこぜで、そして、脳みそが蕩けてダメな人間になりそうなの。

足のちからがガクンと抜けて、体が落ちそうになって唇が離れた。
皇子が咄嗟に私を抱えた。


「おい、おまえ・・・、腰を抜かしたのか?」
「だ、だって・・・。」
「ふふっ、僕のキスが、そんなによかったか?」
「な、何言ってんの?」
「腰を抜かすほど、気持ち良かったんだろう?」
「う、自惚れないでよ、これくらい、何よ!」
「強がり言うなよ。ほら、しっかり捕まってろ。」


皇子は私の両手を取ると、自分の首に回した。
体を真っ直ぐ維持するために、私はしがみ付くよりしょうがない。
だって、まだ、足に力が入らないんだもん。


「つづきだ。」

再び唇を塞がれて、私は必死に皇子の首に抱きついた。


もう、何も考えられない。
ただ、この気持ちの良いつながりを、手放したくないだけ・・・


よく覚えていないけど、何度も角度を変えて、重なりを繰り返した気がする。

それは、永遠とも思えそうな、いえ、時間が止まったような、
まるで夢の世界の出来事のようだった。


皇子の腕は、しっかりと私の体を抱きしめていて、

私はほとんど、皇子にぶら下がっていた・・・、と思う。




---to be continued



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『許嫁』と呼ばないで(20)

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それは、お昼休みの出来事。
私は、いつの間にか、黒いソファーに座って、ボーっとしていた。

皇子は、部屋の奥に佇んで、携帯を耳に当てて話をしている。


「ああ、そうだ。これから向かう。お祖母様には、直ぐにお会いできるな?
 ・・・、・・・。そうか、シン・チェギョンも一緒だと伝えておいてくれ。」


電話の会話の中に、私の名前も入ってる。
このあと、何をする気なの?


「おい、大丈夫か?行くぞ。」
「行くって・・・どこに?まだ、午後の授業が・・・。」


午後の授業は、もうとっくに始まっている。
また、寝坊助の言い訳をすることになるのかな?


「”宮”から校長に、早退の願いを出すから心配いらない。これから一緒に、宮殿に向かう。」
「一緒にって・・・、私が一緒に公用車に乗るの?」

「そうだ。ほら、立てるか?」


差し出された手を躊躇い気味に握ると、くいっと引かれて立ち上がった。

足の力は回復している。
手を繋いだまま特別室を出て玄関に行き、公用車に乗り込んだ。

授業中だから、野次馬に取り囲まれることは無いけれど、誰かが見ていたら噂になるのかな?と、漠然と考えた。


「あ、カバン、取りに行かなくちゃ!」
「携帯は?」

「それは、ポケットに・・・。」
「じゃあ、メールでガンヒョンに、カバンの中身をまとめておくように頼んでおけ。あとで、誰かに取りに行かせる。」

「誰かって?」
「たぶん、護衛官。」

「え~、”宮”の護衛官が、私のカバンを取りに行くの?」
「ダメか?」
「きっと、後で、みんなにに問い詰められるな・・・、スニョンの質問攻撃が怖い・・・。」


こっちは落ち込んでるのに、皇子は涼しい顔で車窓の風景を眺めている。

冷静を絵にかいたような顔をしているこの皇子は、ついさっき、
私の手を取り、ひざまずいて、その後、あんな熱い行為をぶつけて来た。


か~っ、顔が熱い!
思い出しちゃったよ~!
私は、骨抜きにされたんだ~!!!


って・・・
あれ?
どうして、今、宮殿に向かってるんだ?
何のため?


「ねえ、シン君。何の用事で、私は宮殿に行くのでありましょうか?」
「分からないのか?」
「う、うん・・・。」
「ちっ、本当におまえって奴は・・・。」


おいっ!答は?
解答になってないぞー!!!


結局、答を教えてもらえないまま、私は宮殿の門を車でくぐることになった。
この入り方、好きじゃない。

だって、守衛のお兄さんに挨拶出来ないんだもの。


宮殿に着くと、何度か通されたことのある奥の間で、今日は皇子と並んで座った。
いつもは向かい側なのに・・・。

そのうち、皇太后様が現れて、私達の並んだ姿を嬉しそうにご覧になった。


「まあ、太子。急な連絡で驚きましたよ。学校を早退して二人で訪れるなど、いかがしましたか?」
「はい、お祖母様。今日はお願いがあって参りました。」

「改まって、何でしょう?」
「僕は『許婚』をお妃に迎えたいと思いますので、来春の婚姻の許可を頂きたいのです。お祖母様にお許し頂けたら、父上と母上にもお願い致します。」

「まあ、そうですか!ついに、二人が婚姻を!めでたい事じゃ!チェギョンちゃん、ありがとう!太子の想いを、受け入れてくれたのですね!」

「え、えっと・・・、あの・・・。」


何なの?
こんな急に!
この皇子、慌て過ぎ!!!


その時、手をぎゅっと握られた。

隣に座る皇子の視線は皇太后様に向いていて、私とは視線は合わない。
けれど、包まれた手に、皇子の決意と思いが伝わって来た。


手のギュッ、が『断るな!』って、震えてる。
確かに、そう感じた。


「あの、えっと・・・。」

また、ギュって握られた。


分かってるよ、シン君!
私、分かってるの!


「えっと・・・、皇太后様、私みたいな者でも、お妃になれるでしょうか?」


は~っ、言えた!
言えたよ、お兄さん!
って、何故か守衛のお兄さんに報告してる私・・・。


「何を言っているのですか、チェギョンちゃん!あなたこそ、お妃に相応しいのよ!」

皇子が私に顔を向けて、真剣な表情で見るものだから、私は恥ずかしくて俯いた。
まともに視線を合わせることなんて出来ないよ。

だって、超照れるもん。
今、結婚宣言をしたようなものだ。
私は人生の重大決意を、今、この国の前・国母に報告しているのよ!


「皇帝陛下と皇后は、今公務で外出中です。戻るのを待って、さっそく報告してはどうだ?」
「お祖母様、今日は、二人の想いをお祖母様にお伝えしたかっただけですので、正式の挨拶はまた改めて致します。チェギョンも、慌ただしくて混乱しているでしょうから。」
「そうか、では日を改めて、段取りいたしましょう。」


は~、よかった。
皇帝陛下には、まだお会いしたことが無いから緊張しちゃうもの。
一度、気持ちを落ち着けなくちゃ、パニックのままでは、失礼しちゃいそう。



皇太后様への挨拶のあとは、東宮殿に案内された。

パビリオンのソファに座ると、ふ~っと大きなため息が出た。


あ~、やっと落ちついた!
不思議だわ、東宮殿が自宅に戻ったように落ち着ける。


「チェギョン、本当にいいんだな?」
「な、何よ、今さら・・・。今から断っても、いいって言うの?」

「そ、それは、困る!」
「じゃあ、聞かないでよ。シン君の方こそ、後悔してるんじゃないの?」

「僕は後悔なんてしていない!」


やけに、大きな声で叫ばれて、びくりとした。

私たちは、いつも気持ちの探り合いばかりで、キチンと話をしていない。
ここは、覚悟を決めて、話をしなくては!

結婚宣言した後、ってのが、間抜けだけど・・・。


「シン君、私、話があるの。意地の張り合いはお互いに止めにしない?」
「僕は、別に意地なんて・・・。」
「シン君!」
「わ、分かったよ・・・。なるべく、素直に・・・なる。」

「じゃあ、えっと・・・、ひとつ、聞きたいことがあるの。」
「何だ?」

「シン君、ヒョリンには、結婚を断ったんだからそれで終わり、って言ってたでしょう?」
「また、ヒョリンのことか?!」
「怒らないでよ!」
「・・・、それで?」

「私も、結婚を断ったでしょう?シン君のプライドとしては、大丈夫なの?」
「僕は直接おまえに振られたわけじゃない。プライドなんて関係ないよ。それに・・・。」

「ん?」
「ヒョリンとおまえは、違う。」

「どう、違うの?」
「どうと言われても・・・。ヒョリンは逃げ道だった。」
「逃げ道?」
「”宮”の束縛から逃げる道を探ったということだ。その道は、正しい道じゃなかった。おまえは・・・、風かな?」

「風?」
「空気が動いて、僕に何かを気付かせて、進むべき行き先に誘う。」
「何のこと?」
「おまえには、いろいろと気付かされた、ってことさ。」

「そうなの?私には、よく分からないんだけど・・・。」
「とにかく僕は・・・、お前の顔が見たくなるんだ。」
「へ?」
「一日見ないと、寒くなる。」


やだ!なんだか、くすぐったい!


「おまえの方は、どうなんだ?」
「何が?」
「一度『許婚』を断ったのに、いいのか?」
「それは・・・、心って、変化するもので・・・、段々と・・・、ね。」

「段々と、何だ?」
「だから、その・・・、気になるって言うか、何と言うか・・・。」
「いつ頃からだ?」
「いつ頃って・・・、シン君はどうなのよ?いつ頃から、私の事・・・。」

「僕だって、よく分からないよ。いつの間にか、気付いたら、気になっていて・・・。」
「そう・・・、私も、気付いたら、気になって・・・。」


横に座る皇子をチラッと見たら、むこうもこちらをチラ見している。


熱い口づけを交わした関係ではあるけれど、
『想い合う同士』という雰囲気には、イマイチ遠い気がする。

どうしてだろう?

なんてったって、照れくさいのよ!


「あ、あたし、そろそろ帰るね。シン君。」
「えっ、もう帰るのか、チェギョン?夕食、食べて行けよ。」

「制服のままだし、パパとママにも話をしないと・・・。」
「じゃあ、送って行く。ご両親には、僕からきちんとご挨拶する必要もあるし・・・。」

「今日はいいよ!いきなり皇太子殿下が現れたら、うちの家族も混乱するから。『許婚』のことは、うちではもう、無かったことになってるし・・・。」

「じゃあ、家まで送るだけ・・・。」
「本当に、いいの!1人で、歩いて帰りたいの!」

「どうしてだよ?」
「とにかく、そうしたいの!」


強く主張すると、皇子は少し寂しそうな顔をした、
それでも、私は、やりたいことがあるのよ。


まだ、納得いかないような表情の皇子を残して、私は自分の足で宮殿を出た。
車で送ってもらわなかったのは、もちろん、守衛のお兄さんに挨拶をするため。



いったい、何人のお兄さんと会っていたのか?
それさえも分からないけれど、あの門を守る守衛のお兄さんへの挨拶は、私の習慣になっているの。

自分の心の変化を、見守ってくれているような気がしていた。



門をくぐり、境界線をまたいで振り向いた。

尊権な門構え。奥の宮殿。

私の世界が広がろうとしている!


微動だにせず、しっかり前を見据えて佇む守衛のお兄さんは、今日も勇ましい。

今日は、なんて言おうか?


「私の世界を、守ってね。」
「はい、お守りいたします。」


そう言ってくれると思った!

お兄さんの顔を見ると、今日は、しっかりと微笑んでくれて・・・


あれ、この人?


「あ、あの・・・、シン君・・・、殿下の車を運転していた人ですよね?」
「はい、チェギョン様。私は、皇太子殿下付きの護衛官です。」

「え、そうなの?守衛のお兄さんは、守衛専門じゃないの?」
「守衛は、護衛官が交代で務めます。一日ここに立つことで忍耐力、行き交う人々の表情を観察して、洞察力を養います。」

「そうだったんですね・・・。じゃあ、私が殿下の『許婚』だと、知っていたんですか?」
「はい、存じ上げていました。」

「他の守衛さんとも、私、会ってますよね?」
「はい、護衛官の中で、話題になっています。未来の妃宮様は、守衛にもお声をかけてくださるお優しい方だと・・・。」

「え~っ!そうだったんですか???」



”宮”の職員の間で、噂になっていたなんて・・・



恥かしーっ!!!





---to be continued


シン君・・・、守衛のお兄さんに負けてるし・・・。

( ̄д ̄)

『許嫁』と呼ばないで(21)

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皇太子と結婚したい・・・
そんなことを両親に話すなんて、自分でも信じられなかった。

”宮”から『許嫁』の知らせが来た時は、喜ぶ家族を横目に、激しく抵抗した私なのだから、パパとママが驚くのも無理はない。

「チェギョン、”宮”からの援助に気がねしているのか?借金は、パパがしっかり働いて、きちんと返していくから、おまえが犠牲になることは無いんだぞ。」
「違うの、パパ。私、本当に、皇太子殿下と結婚したいの。」
「いいのか?”宮”からの知らせが来た時は、精神的に追い込まれていたから、つい、喜んでしまったけど、おまえを金で売るようなつもりは毛頭ないから、安心していいぞ。」
「パパ、本当なの。私は、心から殿下の事が・・・、えっと・・・、好きなの。」

私の言葉に半信半疑なのは、ママも同じ。

「皇太子殿下には、恋人が居るとか言ってただろう?そんな人の所に嫁に行っても、幸せになれないんじゃないかい?」
「ママ、それにはいろいろ事情があって・・・。殿下には、今は恋人なんて居ないのよ。」
「恋人を捨てて『許嫁』と結婚するなんて、冷たい男なんじゃないかい?」
「違うのよ、殿下は、本当は優しい人なの!」


以前とは立場が逆転して、今は家族の方が入宮を不安がっている。


「とにかく、近いうちに殿下が挨拶に来るわ。その後、家族で宮殿に行くことになるから、パパには、皇帝陛下にしっかり挨拶して欲しいの。」
「こ、皇帝陛下?!」

パパの声がひっくり返った。

「だ、ダメだ・・・、ダメだ、チェギョン!皇帝陛下に挨拶なんて、パパには無理だ~!」


パパのビビる気持ちは、よく分かる。

私は随分と宮殿の雰囲気にも慣れたけど、それでも皇帝陛下にはまだ会ったことが無いから、その時の事を考えると、とても緊張しちゃう。

パパは初めて宮殿に行って、いきなり皇帝陛下だもの。
きっと、緊張して、訳の分からないことを言っちゃうよ。

『うちの娘はやれん!』なんて叫んだら、どうしよう?!



数日後。
皇子が我が家に挨拶に来ると、パパとママは、ソワソワと落ち着きのない様子。
弟のチェジュンは、何故かニヤニヤ嬉しそうだった。


「お義父様、お義母様、ご挨拶が遅れて、申し訳ございません。『許嫁』の縁で、チェギョンさんと出会うことが出来て、大変幸せに思っています。どうか、先帝の意向を汲み入れ、チェギョンさんの入宮をお許しください。」
「で、殿下・・・、うちの娘がお妃だなんて、本当によろしいのですか?」
「お義父様、チェギョンさんこそが、お妃に相応しいのです。」


皇子の言葉を聞いて、パパとママが顔を見合わせた。
まだ、訝し気な表情・・・


「あの・・・、殿下は本当に、チェギョンと結婚したいんですか?」
「もちろんです、お義母様。それは、僕の心からの願いです。」
「でも、殿下には、なんていうか・・・、他にもお妃候補が沢山いらっしゃるのでは?」
「僕が傍に居て欲しい女性は、チェギョンさんただ一人です。チェギョンさんが居なければ、僕は皇太子を続けられないと思っています。ですから、どうか、お嬢さんとの結婚を認めてください。」


皇子が頭を下げると、パパとママは驚いて目を丸くした。
私も驚き!
私が居ないと皇太子を続けられない、なんて・・・グッとくる言葉だわ!


「で、殿下!頭を上げてください!分かりました!チェギョンが幸せになれるなら、私らとしては、異存は有りませんから!」
「本当ですか、お義父様!もちろん、必ず幸せにします!ありがとうございます!」


皇子の腰の低さに、パパもママも、その誠実を信じてくれたみたい。

チェジュンは、初対面だというのに皇子にやけになついていて、結婚が許されると、二人でハイタッチしていた。


あいさつが終わって帰る時、皇子はうちの庭を眺めていた。

「チェギョンは、ここで育ったんだな。」
「うん、そうだよ。」
「家族はみんな、暖かいな。」
「うん、うちはね、仲良し家族なの。」
「僕達も、そういう家庭を作ろう。」
「え?」
「家族がみんな仲良しで、明るい家庭。」
「シン君、私に合わせてくれるの?」
「合わせる?」
「皇室風じゃなくて、庶民風でいいの?」
「皇室とか庶民とか、そんなことは関係ない。チェギョンみたいな子が育つ、そういう家庭に僕は憧れるんだ。」
「シン君・・・。暖めてあげるからね!」
「ん?」
「暖かい家庭にしよう!」
「ああ、そうだな。いっぱい暖めてくれ。」
「任せておいて!!!」


微笑み合う私たちは、もうすでに暖かさに包まれている。
まだまだ、たくさん準備はあるけれど、私は東宮殿の新しい生活が待ち遠しかった。




皇帝陛下への拝謁では、パパの緊張は尋常ではない。

「あ、あのぉ・・・、娘を、おぅ、お妃にしていただき、あ、ありがとう、ごぜえます。」

パパったら、声が裏返って、言葉も変になってるし・・・。
それでも、皇帝陛下は、優しく微笑んでくれた。


「いやいや、先帝の望まれたお妃を迎え入れることが出来てるのですから、感謝するのはこちらの方です。お嬢さんの入宮は、ご両親にとっては不安なことでしょう。精一杯、大切にしますので、どうか、ご安心を。」
「あ、有難きお言葉、い、いたみいりやす!」


結局、最後まで、パパはガチガチだった。


その直後、皇太子の婚約が発表されて、ごく普通の、一般庶民の女子高生が、未来の妃宮として国民に紹介された。


皇太子イ・シンの婚約者、シン・チェギョン。

何とも立派な、公の肩書きが付いたものだ!



クラスメートは、パニックに近い状態で大騒ぎ。

「ねー、チェギョン!あんたが『許婚』だなんて、驚きよ!皇太后様の友人って、そういうことだったの?」
「ご、ごめんね。嘘をつくつもりは無かったんだけど、結婚はまだ、正式には決まってなかったから・・・。」
「じゃあ、なになに?ずっと、殿下とお付き合いをしてたってこと?」
「まあ、そうなるかな・・・?」
「えー、ずるーい!いいな、いいな!あんな素敵な人が彼氏で、でもって、来年には旦那様でしょう?うらやましー!」


そうだよね、普通そう思うよね。
私だって、信じられないもの。

あの皇子が、自分の結婚相手だなんて・・・

事前に、事の成り行きを報告していたガンヒョンを見ると、涼しい顔で、ふふっ、と笑っていた。



ここまで、怒涛の流れ・・・

息つく暇も無かったけれど、これからの結婚準備、大丈夫かな?


ちょっと、怖い気もするけど、後戻りは出来ない!



シン・チェギョン、ファンティ~ン!!!




---to be continued



もう少しで終わりです。
今しばらく、ご辛抱を・・・

m(__)m

『許嫁』と呼ばないで(22)

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皇太子の婚約が正式に発表されて、報道規制はかかっているものの、危険があってはいけないと、私も公用車で送り迎えの毎日だ。

『アッカンベー』を見られたお兄さんが運転の時は、さすがに恥かしかったけど、お兄さんは護衛官としてキリリとした表情で、私を守ってくれている。


週末毎に宮殿を訪れて、お妃教育も受けている。
こんな風に、私の運命は、『お妃』への道を進み始めた。


お妃教育の内容は、多岐に渡って難しい。
最初は、婚姻の儀式について説明があって、これから何度か、練習が繰り返される。

その他にも、祭祀やしきたり、作法や心構え、漢字だとか漢文だとか、庶民の生活からは程遠い内容は途方に暮れるものだけど、勉強キライのこの私が、必死になって取り組んでいるの。

これは、皇子の傍に居るための試練だから・・・。
私はこれを乗り越えなければならない!

恋心は、こんな風に、だらけた女子高生に、意欲を与えたりするものなんだ!



けれど、婚約直後はお互いに忙しく、二人で話をする機会が少なくなっていた。
そこで、ある時、私は映像科の皇子の元へ足を運んだ。

慣れない校舎の雰囲気に肩をすぼめて歩いていると、すれ違う学生たちが、皆、チラチラと私を見て、そのうちの数名が後から付いて来ていた。

皇太子と『許嫁』のツーショットを見学しようという魂胆だろう。
やっぱり、ここに来るのはまずかったかな?



「あ、あの・・・、シン君、居ますか?」
「お、アヒル!久しぶりだな!ガンヒョンは元気かい?」

ギョン君の‘ガンヒョン命’は、今でも変わっていないけど、ガンヒョンはイマイチ相手にしていないの。

そこへ、後ろから皇子が現れて、ギョン君の頭をパコン!と平手で叩いた。


「おい、ギョン!僕のお妃をアヒル呼ばわりするとは、何だ?」
「あ、シン!親しみを込めて言ってるんだから、怒るなよ~!」


二人の会話は、微笑ましいけれど、その奥の教室を見ると、カン・インが冷めた目でこちらを見ていた。

バカにしていた庶民がお妃に決まって、バツが悪そうだ。
ちょっと、可愛そうかもしれないな。

カン・インの感情は、責められない。
単に庶民と言うだけじゃなく、私の様ながさつな女がお妃になることを疑問視するのは、仕方がないと思えるの。
それが、正しいとか正しくないとか、そういうことじゃなく、自然に浮かんで来る感情をコントロールするのは、難しいことだと思うから。
これまで培ってきた価値観を変えるというのは、それなりに大変なことだもの。



「チェギョン、どうしたんだ?」
「あの、これ・・・。パパから、”宮”に提出する書類を預かって来たの。早い方がいいと思って・・・。」
「これは、明日宮殿に来る時で良かったのに・・・。わざわざ、ありがとう。」
「お、お礼なんて、大袈裟よ。」


実は、皇子の顔を見たくて来ちゃったんだもん!
書類は口実なの。

うぷぷ・・・、私ったら、いけない女だわ!



「チェギョン、今日の帰り、一緒に宮殿に行かないか?」
「え?でも、明日、お妃教育で行く予定だから・・・。」
「泊まれば、明日の朝、楽だろう?」
「と、泊まる?」
「妃宮部屋は、いつでも使えるようになっているから・・・。」
「で、でも、泊まるのは、さすがに・・・どうかと・・・。」
「そうだよな、やっぱり、ダメか・・・。」
「う、うん・・・、きっと、パパが泣いちゃうし・・・。」


やだわ、皇子ったら!
みんなの前で、お泊りの話なんて!

顔が熱いよ!


「ごめん、変なこと言って・・・。無理をさせるつもりは無いから・・・。」

そう言うと、皇子は指の背で、スーッと私の頬を撫でた。
ぞくりとして、息を飲んだ。


「ひゅ~っ!」っと、周りから冷やかしの声が上がって、私はもう恥ずかしすぎて、いたたまれない。


「じ、じゃあ、明日ね、シン君!」
「ああ。」


手を振ると、皇子も軽く手を上げて、微笑んでいた。



あ~ん、もう!
せっかく会いに行ったのに、皇子が恥ずかしいことをするから、
直ぐに戻ってくることになっちゃったよ~。

もう少し、話をしたかったのにな・・・


人前で、あんな接触をするなんて、皇子の雰囲気が少し変わっている。
嬉しいような、困るような、微妙な感じよ。

異性との接触に慣れない初心な乙女としては、つい、身構えちゃうし、
どんな反応したらイイのか、分からないし・・・。

散々意地を張っていたあの頃の方が、楽だったような気がするのは、錯覚だろうか?



週末は、お妃教育のために宮殿に入る。

難しいお勉強に、正座の足のしびれ。
教育係の尚宮のお姉さんは、鋭い視線で私のズルを見逃さない。

この厳しい戦いが、私の精神をお妃の威厳へと導くと信じたい!



婚姻が間近に迫れば、色々なことを意識しちゃって、皇子の顔を見ると照れくさい。
合房教育なんてされたら、そりゃ、意識しちゃうでしょう?


午前中のお妃教育を終え、皇子と一緒に東宮殿で昼食を摂った後の休息は、
皇子の部屋で二人きりの時間となった。

皇子に顔を覗き込まれ、接近する気配に つい身を引くと、
皇子は、ふっと、ため息をついた。


「チェギョン・・・、背中を暖めてくれよ。」
「は、はい・・・。」


くるりとうしろを向いて差し出された大きな背中に、
震えながらピトッと引っ付いて、『許嫁』の務めを実行開始!

完璧赤面だけど、皇子は後ろ向きだから、少しは気が楽よ。


「チェギョン・・・。」
「は、はい・・・。」
「もしかして、後悔してるのか?」
「え、何が?」
「僕との結婚を決めたこと・・・。」
「後悔なんてしてないよ!どうしてそんなこと?」
「だって、おまえ、僕を避けただろう?」
「避けてなんてないよ!今、こんなに、くっついてるじゃん!」
「それは、僕が頼んだから仕方なく・・・。」
「そ、そんなこと無いって!誤解だよ!」

さっき、ちょっと逃げたの、バレたか~?


「どうして、目を逸らすんだ?」
「そ、それは・・・、だって・・・。」
「だって・・・、何だ?」
「それは・・・、恥かしいから・・・。」
「恥ずかしい?」
「どこ見ていいか、分からないんだもん。」
「どこって・・・、目を見ればいいだろう?」
「それが、恥かしいのよ。」
「じゃあ、練習するか?」
「れ、練習?」


抱きついていた状態だから、皇子が振り向けば、その距離はかなり近い。
やっぱり、視線を逸らせちゃう!


「ほら、それじゃあ、練習にならない。真っ直ぐ見ろよ。」
「で、でも・・・、近いよ。」

皇子の両手が私の顔をガシっとはさんで、真っ直ぐに位置矯正された!
う~、逃げ場がない!


「チェギョン、僕を見て・・・。」
「シ、シン君・・・。」
「目を見るんだ。」


ああ・・・、ヤバい・・・この瞳・・・、吸い込まれそう・・・
その瞳が、どんどん近づく・・・


「シ、シン君・・・。」
「チェギョン・・・。」
「ダ、ダメよ、女官のお姉さんに、見られちゃう・・・。」
「ふっ・・・、キスされると思ったのか?」
「へ?」
「キスして欲しかったら、暗室、という手があるけど?」
「し、して欲しいなんて!そんなこと言ってないでしょう?」
「本当に、して欲しくない?」


頬を撫でられると、ビクッと電流が走った。


「シン君・・・ずるい・・・。」
「何が?」
「いじわる・・・、皇子・・・。」



結局、私は、暗室に連れ込まれた・・・、そうなれば、もう皇子のペース。


「チェギョン・・・。」
「・・・くっ。」

皇子の手が私の頬に触れて、ピクッと肩をすぼめたけれど、それでもさらに、掌は密着した。

皇子の親指が、スーッと下唇をなぞる。


ひゃんっ、くすぐったい!


そして、ついに塞がれる唇・・・。
密着した部分から、私のエネルギーはどんどん吸い取られて行った。

ふっと足の力が抜けて、そのせいで唇が離れた。
すると、皇子にガシっと支えられ、ふわりと体が浮き、作業机の上に座らされた。


「シ、シン君・・・。」
「これで、腰が抜けても大丈夫だ。人目も気にすることは無い。」
「で、でも・・・。そろそろ、午後のお勉強が・・・」

唇で唇が塞がれて、言葉は遮られる。

さっきより、かなり強く押し付けられて、ちょっと開いたすき間から、生暖かいものがこちらに入り込んで来た。


恥ずかしさの奥から滲みそうな、快楽の予感。
とろけるこの味に虜になって行く・・・


気付けば私は、皇子の首に手を回して、思い切り抱きついていた。


ああ・・・、現れてしまった、隠していた はずの淫ら・・・


いや~ん、もう・・・
体の奥が熱くなってる!


まったく・・・、この皇子には、全然勝てない・・・




---to be continued


あれ?
おかしいなぁ・・・
シン君がやけに、おせおせになってるよ・・・

(*'▽')

『許嫁』と呼ばないで(23)

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「はふっ・・・。」
「チェギョン、結婚の準備、そんなに忙しいの?」
「へ、なに?ガンヒョン?」
「あんた、最近、そんな風にぽわんと力の抜けた表情してること多いでしょう?疲れてるのかな、と思ってさ。」
「うん、まあ、忙しいと言えば、そうだけど・・・。」
「ん?他に何かあるの?」
「う、ううん、別に何も・・・・。」


授業の合間の休み時間。
油断してぼんやりすると、浮かんで来るのは皇子の姿。
そして、あの熱い接触を思い出して、うっとりしたりして・・・。


お妃教育や婚姻の準備は、そりゃあ、私にとっては大変なことよ。
慣れない事ばかりで、家族中大騒ぎで、気持ちばかり焦っている感じ。

でも、私を悩ませる本当の犯人は、塀の中に潜む悪魔的住人。
この間も、暗室で散々トロトロにされて、午後のお妃教育に身が入らないったらない。

尚宮のお姉さんに、何度も、
「チェギョン様、お加減が悪いのですか?」
なんて聞かれて、
「だ、大丈夫です!ちょっと、難しくて、混乱しているだけですから!」
と必死で言い訳した。


まさか、皇子のキスを思い出してドキドキしてる、なんて言えやしない!


本当に止めて欲しい・・・
高校生のくせに、男の色香を漂わせて女子を誘惑するなんて、ほとんど犯罪よ!




ある時、学校の廊下を歩いていると、いきなり後ろから声をかけられた。

「シン・チェギョン・・・。」
「あ・・・。」

それは、大会社の御曹司、カン・イン。
気まずそうな表情で、ゆっくり近づいて、こちらとしても身構える。


「えっと・・・、その・・・、婚約、おめでとう。」
「え?あ、ありがとう。」
「それから、シンのパーティーでは、ごめん・・・。」

もうずいぶんと経っている事なのに、わざわざ、謝りに来たの?
どういう風の吹き回しかしら?


「ああ・・・、私の方こそ、バカ息子なんて、ごめんね。」
「いや、こっちは、本当にバカだったから、いいんだ。」
「え?」


なんと?
腰が低すぎないですか?
かえって、警戒しちゃうわ。


「婚約が発表された時、『許嫁を無理矢理押し付けられて、可愛そうに。』って言ったら、シンに睨まれたんだ。『押し付けられたのは、チェギョンの方だ。』って言ってた。」
「シン君がそんなことを?」
「それから、庶民を見下すような価値観なら友人ではいられないと、言われた。」
「そうなの?」
「皇室は、国民の支えによって成り立っているのだから、上下を言うなら、庶民の方が上だって・・・。」


なるほど・・・、皇太子に突き放されて、仕方なく謝りに来たのね?


「いいのよ!イン君は上流階級のお嬢様をたくさん見ているから、仕方ないよ!私、こんなガサツだしね!庶民を馬鹿にするのは、止めて欲しいとは思うけど・・・。」
「ガサツだなんて、思ってないよ。ただ、シンの周りに居る女性たちの雰囲気とは違うから、ちょっと、興味が湧いて、からかっただけなんだ。」


皇子の周りの女性達って・・・、どんな雰囲気だというのだろう?
てか、そんなにたくさん居たの?
ヒョリンだけじゃなくて???


「今は、チェギョンが一番、お妃に相応しいと思ってる。」
「本当?イン君にそう言われると、照れちゃうわ!」
「シンの雰囲気が変わったなって思ってたんだ。それは、チェギョンと知り合ったからだったんだな。」
「シン君が、変わったの?」
「ああ・・・、前は、俺たちの話にもあまり乗ってこなくて、辛辣な意見をチクリと言うくらいだったけど、最近は、けっこう話をするようになってるんだ。」
「そう・・・、じゃあ、お友達とも気を抜いて話せるようになってるのかな?」
「え?気を抜いて?」
「う、ううん、何でもない!」

「それでも、最近シンは、不機嫌になることも多いんだ。」
「シン君が不機嫌に?どうして?」
「教室で、よく、チェギョンの事が噂になるから・・・。」
「え、私の噂?やだ、変なこと言われてるの?」
「いや、お妃ファンが増えてる。」
「ファン?」
「婚約が発表されて始めてチェギョンを知った奴が、美術科に見に行って『可愛い!』を連呼したんだ。そしたらシンが そいつに食って掛かりそうになって、俺らが止めた。」

「え、何でシン君が?!!!」
「『許嫁を変な目で見るな!』って、怒ってた。」
「変な目って?」
「ほら、男子が女子を見るって言うのは、色々な意味が込められることが・・・。」
「ああ・・・、そういうこと・・・。」
「ふっ・・・、シンは、チェギョンが人気で、焼きもちを焼いているんだ。」
「ま、まさか・・・。」


一気に顔が熱くなった。
モテモテ皇子に、焼きもちを焼かれるなんて、信じられない・・・
けど、ちょびっとうれしい!




「おい!僕の許嫁をナンパするとは、どういうつもりだ?」

突然現れた皇子が、友人の肩にポンと手を置いてにらみを利かせると、
イン君は、びくりとたじろいだ。


「シ、シン!ナンパなんて、してないよ!本当だ!シンに言われて、パーティーのことを謝ってただけだ。」
「ふ~ん・・・、でも、チェギョンの頬が赤くなってるぞ?どういうことだ?」

「それは、シンがチェギョンに焼きもちを焼いていると言ったら、チェギョンが照れて、赤くなったんだよ!」
「な!いつ僕が焼きもちを焼いたって言うんだ?」
「何言ってんだ!いつもじゃないか!」
「・・・。」
「この間だって、クラスメートがチェギョンの噂をしていたら、思い切り机を叩いて驚かせて、黙らせただろう?」
「く・・・。」
「『妃宮様のほっぺ、触りて~!』と言ってた奴に『少しでも触れたら、ただでは済まない』って、脅しただろう?あいつ、ビビッて漏らしそうになってたぞ。」
「う・・・。」
「ギョンが、ガンヒョンのことで、チェギョンに協力してもらうと言ったら、『チェギョンには、近づくな』って、接近禁止令を出してたし・・・。ギョンは困っていたぞ。」
「ギョンは、軽すぎるから・・・。」
「ギョンはガンヒョンが好きなのに・・・、それでも、近寄らせないなんて・・・。よっぽどチェギョンの事が大事なんだな?そこまで好きになれるなんて、羨ましいくらいだよ!」


ちょっと、ビビっていたイン君が、今は優位な感じて、シン君の肩を叩いた。

それにしても、シン君が私に焼きもちなんて、本当に本当なのかしら?

シン君は、「ちっ。」と舌打ちをして、バツが悪そうに鼻をかいていた。


二人の前で、超恥かしい私・・・



でも、イン君の言葉を聞いて、私の心に、何かが引っかかった。


『そこまで好きになれるなんて、羨ましいくらいだよ!』



そういえば、私・・・


『好き』って言われたことが、一度も無い気がするんですけど???





---to be continued


ふっ・・・、今頃気付いてるし・・・
( ̄д ̄)

『許嫁』と呼ばないで(24)

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卒業式は、もう間近に迫っている。
卒業したら婚姻の儀式が行われて、
春からはシン君と二人、王立大学に通い始める予定なの。



お妃教育を終えて、寛いでいた東宮殿のテラス。
皇子がふわりと私の手を包む様に握った。

「チェギョン・・・、もうすぐだな。」
「え?」
「結婚式が、近づいて来た。」
「そ、そうだね。その前に、卒業式があるけど・・・。」


また、うっとりの瞳に見つめられ、心臓鷲掴み!
顔が熱くなって落ち着かないよ!


「チェギョン、案内したいところがあるんだ。」
「え、どこ?」

皇子に手を取られ、私は書筵堂の屋根裏部屋へと導かれた。

天井の低い狭い空間だけれど、窓から入る日差しは柔らかく、木の温もりが優しい。


「ここは何?」
「誰も知らない場所だから、何のための部屋なのか、分からない。」

「そうなの?」
「昔の皇子も、隠れたくなる時があったのかな?」

「シン君も、隠れたい時があるの?」
「イヤになる時もあるさ、常に従者に見張られているような生活だから・・・。」

「ここで、気を抜いていたの?学校の特別室みたいに・・・。」


”宮”の中でも気を抜く場所が必要なんて、可愛そうになっちゃうわ。
これからは、私が癒してあげられるかな?
そうできたら、うれしい。


「塀の外に逃げ出したいとか、”宮”の意向に逆らいたいとか、色々、葛藤したこともあった。ヒョリンへのプロポーズも、その一つだった。」
「シン君・・・。」

「ごめん・・・、ヒョリンの話なんて・・・。」
「ううん、いいの・・・。」


ヒョリンとの関係は、詳しく聞きたい気もするけれど、聞きたくない気もする。
ヒョリンを諦めさせる作戦!なんてしておきながら、
実は二人の経緯とか、詳しく聞いたことは無い。

改めて話題にするのも気が引けたし、皇子もヒョリンの名を口にすることを躊躇っていたのだろう。


「ヒョリンに初めて会ったのは、家出をした時だった。」
「家出したの、シン君?」

「僕にだって、反抗期くらいある。その時、ヒョリンもバレエの事で悩んで、家を飛び出したらしい。」
「そこで出会ったのね?」

「普通の女の子と偶然出会って、何気なく親しくなる。そんなことが、僕にとっては、新鮮で特別なことだったんだ。相手が誰か、ということは関係なく・・・。出会うのは、いつも、お妃の期待を持った令嬢たちばかりだから。」
「そう・・・。」

「その出会い方が特別だから、ヒョリンを特別な存在と思ってしまったのかもしれない。」

「私たちの出会いは、ひどいものだったね。」
「でも、僕は・・・、初めからおまえの事が気になっていた。」

「え、でも・・・。」
「気になっても、住む世界が違う女の子。そう思っていたのに、『許婚』だった。」
「シン君・・・。」

「おまえに結婚を断られて、ヒョリンにプロポーズしたことを、改めて後悔したよ。」
「そうだったんだ。でも、私みたいなタイプ、元々好みじゃなかったでしょう?」

「え、どういう意味だ?」
「ヒョリン以外にも、シン君には、その・・・、たくさん女性が居て・・・。」

「おい、それじゃあ僕が、女ったらしみたいじゃないか?!」
「だってイン君が言ってたの。私は、シン君の周りの女性達と雰囲気が違うって…。」

「インのやつ、いい加減なことを・・・。それは、たぶん、晩餐会とかで紹介された女性達のことだ。でも、元々僕は、そういう令嬢が好きじゃなかった。さっきも言っただろう?」
「そうね・・・。」

「もしかして、チェギョン、焼きもちを焼いてるのか?」
「そ、そんなこと無いもん!過去の事なんて、いいの。今が大切。」

「今・・・」
「そう・・・、今。」



シン君が黙ったまま、ジッとこちらを見つめてる。

「チェギョン・・・。」


おっ!
もしかして、ついに告白か???
シン君、『好き』って言ってくれるのかな?!


期待していたら、いきなりほっぺをつままれた!


「うぎ~!」
「おまえ、今、何か期待しただろう?」
「へつに・・・、はひほ(なにも)・・・」

つまんだ皮膚を、ぶるぶる揺すられた。

「いはい(いたい)よ~!」

「そういえば、まだ、確認していなかったな、好きな男の名前!」
「はひ?」

「さあ、言ってもらおうか?おまえが好きな男の名を!」


やっと、ほっぺを解放されて、つままれていた部分を、自分でマッサージした。


「シン君、ずるい~!」
「何がずるいんだ?」
「だって・・・。」
「必ず確認すると言っただろう?さあ、教えろ。」

「もう・・・、知ってるくせに・・・。」


あ~ん、逆襲だ!
こっちが先に言うの?今更、恥かしいよ!
こういうのって、男子が先だってば~!!!



「さあ、言えよ!言わないと、反対側も・・・。」
「ダメ!」

つままれそうなほっぺたを両手で隠して、皇子を睨んだ。
それでも、視線の鋭さは、勝てるわけがない。


「うぐ・・・。」
「ほら・・・。」

「言わないと、ダメ?」
「俳優の名は、無しだぞ。」

「ふえ~ん・・・。」
「ほら、早く!ん?シン・チェギョンの好きな男は?」

「えっと・・・、私の好きな人は・・・。」
「好きな人は?」

「えっと、その・・・。」

口ごもっていると、皇子が呆れてため息をついた。


「ふんっ、まったく・・・、素直じゃないな!」


何よ~!
自分の事は棚に上げて~!!!






「チェギョン・・・、好きだ。」


あっさり言われて、それは、あまりに意表をついていた。

驚きで、口が半開きになって、目の奥がジンワリと熱くなった。



「シン君・・・、私も!私、シン君が大好き!!!」


感情が溢れて、思いっきり抱きついた。
自分からそんなこと、恥かしけれど、この場面では許されるでしょう?



って・・・あれ?
なんだか、体勢がおかしいわ!

顔を上げると・・・、私は皇子に覆いかぶさっていた!
どうやら、勢いで倒れてしまったらしい。


まるで、獲物を捕らえたメスヒョウのように、抑え込んだ皇子を見下ろしている!!!


「ひゃっ、ごめん、シン君!」

体を除けようとすると、ガシっと腰を抱かれた。


「ふっ・・・、大胆だな、チェギョン。」
「そ、そんなつもりは・・・・。」
「遠慮するなよ、僕はいつでもOKだ。」
「だから、そんなつもりは・・・。」


皇子に抱き寄せられて、抵抗する腕がプルプル振るえる。

腕立て、苦手なの!

背筋も限界に来ると、重力に任せて身を預けることになる!


引力で引きつけられるその先には、皇子の唇が待っている!


そして、ついに・・・





完全に皇子に身を預け、何度も食む様に、夢中で唇を重ね合っていた。
奥底の欲望は、どんどん溢れて来て、その時が来ることを待ち焦がれている。


「シン君・・・、もう少しだから・・・。」
「分かってる、チェギョン。」



お互いに求め合う激しい思いが叶うのも、もうすぐ・・・


儀式の日は、刻一刻と近づいていた・・・





---to be continued



次回、最終話です。
クリスマスだけど、全然、クリスマスっぽさはありません。
(・_・;)

しかも、あっさり終わる感じ・・・
お詫びは、用意してますので・・・
←新書庫が、それ・・・ファン限定 (*‘ω‘ *)
詳細は、おってご報告!


とりあえず・・・

Merry Christmas♪
\(^o^)/

『許嫁』と呼ばないで(25) 最終話

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卒業式を終えて間もなくの事。
皇太子の婚姻の儀式が執り行われた。



儀式は朝早くから始まった。
何度も練習していた、古式ゆかしい祭祀。
大統領へのご挨拶は、頭の飾りが重くてコケそうになった。
国民にお披露目のパレードは、恥かしくて、手の振り方が小さすぎたかな?


そうして、最後の儀式は、ご存知、ドキドキの義愛合!
皇子と二人で、楼閣の前に立つだけで、もう頬が熱かった。



シンデレラとか白雪姫とか、王子様と結ばれる夢物語は数あれど・・・
お伽話は、愛の素晴らしさを謳っても、愛の奥深さは教えてくれない。

そして私は、今まさに、お伽話のその先の、まだ知らぬ世界へと足を踏み入れようとしているの。


女官に取り囲まれて、次々に段取りが進んで行く・・・。
湯あみを終えて、真新しい夜着を着た頃には、完全に夜の帳が落ちていた。


寝室で、皇子と二人きりにさせられて、気恥ずかしい対面。
もう、引き返せない、これが婚姻の最後の儀式。



皇子の手が伸び、引き寄せられた。
抱きすくめられて、身を委ねると、そのまま二人、横たわった。

何処からか、灯りが漏れて、辺りはぼんやりと光がにじむ。

ああ・・・、儀式が始まる・・・


「チェギョン・・・、疲れただろう?」
「シン君・・・、今日はいろいろ助けてくれて、ありがとう。」
「ふっ、慣れない儀式だったのに、頑張ってたな。」
「でも、いっぱい間違っちゃった。シン君がフォローしてくれたお蔭で、無事に済んだけど。」

「儀式なんて、形だけだ。失敗しても構わない。でも・・・。」
「シン君?」
「この儀式は、失敗したくないな。」
「やだ・・・、シン君ったら・・・。」

「あまり辛かったら、言えよ。」 
「大丈夫よ、シン君に任せるわ。」
「僕も、ちょっと、自信が無いけど・・・。」
「え、シン君が自信無いの?」

「チェギョン、男って言うのは、意外と情けないものなんだ。後でバカにするなよ。」
「そんなこと!私の方こそ、自信ないのに!」
「自信?何の自信だ?」

「それは・・・、ちゃんと・・・、喜んで・・・、いただけるか・・・。

「はははっ、チェギョン!おまえって、本当に・・・。」
「笑わないでよ、シン君!神聖な儀式なのに!」

「ごめん、ごめん、でも、おまえが面白すぎるんだよ!」
「だって・・・。」


どうやら私は、変なことを言ってしまったらしい・・・
せっかくの初夜だというのに、ウケてどうする?!



始まった触れ合いは、まるで夢の中。
肌を晒されて、直に伝わる感触は、どこか懐かしい暖かさがある。


恥かしいけれど、嬉しくて、
おののきながら、求めていく。


知らなかった感触。
教えられる感覚。
止めようのない感情。


ふわふわとした雲の上に乗って、現実とは違う場所に導かれているような錯覚をした。


漏れそうな声を必死で抑えて、執拗に繰り返される愛撫に耐えていると、
熱さに似た何かが、下腹部の奥に広がった。

さらに奥に知らない世界がある気がして、それは、今はまだ怖い、と思った。



「・・・ん、シン君・・・。」


愛を受け入れる場所が、求めに溢れている。
大切な準備なのだと分かっていても、愛する人に確認されて、恥ずかしさは尋常ではない。

それでも、どんどん、奥の熱さは増して行った。


「チェギョン、愛してる・・・。」
「シン君・・・私も・・・愛してる。」



そっと添えられたと思ったら、次には激しい痛みが襲い、つい腰が逃げた。
息苦しさの奥に、たまらない感動があって、知らず涙が溢れていた。


一つになる。
他人ではなくなる。

二人で混ざり合うように、愛の確認作業が進んで行く・・・。




激しい痛みだけ思えば、ずいぶんと長い時間だったような気がする。
けれど、その喜びを思えば、あっという間だった気もする。



ただ、確かに憶えているのは、耳元に聞こえた皇子の吐息。

チェギョン・・・、チェギョン・・・


その囁きは切ないもので、胸が締め付けられるほど・・・


大丈夫よ、全てを受け入れるから・・・
大丈夫よ、全てを捧げるから・・・



力が抜けて、身を預けて来た夫の背中をさすり、大切な役目を終えたことに対する感謝と労いを伝えたかった。



ああ・・・、ついに『お妃』になった。



皇太子妃・妃宮、シン・チェギョン。

『許嫁』の役目を終えて、これから、新しい務めが始まる・・・




―『許婚』と呼ばないで 全25話 ― End 



最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。

意地の張り合いが続き、素直になるとあっさりしちゃって・・・


この続きは、別の書庫にて・・・

お話、完結御礼♪

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皆様、こんにちは。


“『許嫁』と呼ばないで ” 全25話、完結致しました。

最後まで読んで頂いた皆様、ありがとうございました。

結婚を断りながらも、皇太后様の意向で、皇太子とお付き合いをすることになったチェギョンの語りだけで綴られたお話でした。

シン君は、一体どう思っているのか?分かりづらい部分も多くて、
創作者としても、イライラがつのりました。
途中、シン君自身の言葉も入れ込もうかと思ったこともあったのですが、
書いてみると、この男・・・クドクドと面倒だったので・・・(爆)
止めにしました!

チェギョンは、迷いながらも、シン君への思いを止めることは出来なかった。
守衛のお兄さんは、チェギョンにとっては、架け橋だったのかな?

荘厳な門の向こうは、戸惑うほどに、遠い世界だけれど、
大丈夫ですよ・・・と、手招きしてくれるような存在だったのかもしれません。


さて、無事結婚した二人。
この先がちょっと気になります。
意地を張り合っていたもの同士、どんな新婚生活なのでしょう?

『夢見鳥の恋』というお話の後、『花に舞う夢見鳥』という続編書庫を作りましたが、
中途半端に中断しています。

おそらく、似たようなことになってしまうでしょうが、
今回のお話も続編書庫を作りました。

新婚生活をちょいと覗かせてもらう・・・と言うスタンスです。
なので、大した事件も、オチもありません。
あしからず・・・

そのうえ、これは、ゆっくり進めることになります。
まず、明日、第一話をアップしますので、雰囲気だけはお伝えできるかと・・・

その後は、年末年始なので、アップ予定は分かりません。


そうそう・・・
新婚生活を覗くので、もちろん、ファン限定公開となりまーす!!!
(*´▽`*)

では、皆様、良いお年をお迎えください!

\(^o^)/

完結御礼♪~僕の『お妃』

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みなさま、こんにちは、しっぽなです♪

昨日、無事(?) 僕の『お妃』全27話、完結致しました。

最後の最後にユル君出て来て、あの扱い・・・
ユル君ファンの方々、どうぞ、お許しください。

シン君VSユル君、を期待されては困る!ということで、
最後に、あんな追記をしました。
どうぞ、ご容赦を・・・。


それにしても、27話だって!
当初は、10話くらいで終るはずだったのに、別キャラ登場させちゃって、
勝手に苦労しちゃったよ・・・、墓穴掘った!と言うやつです。

チェギョンがシン君に黙ってお出かけした時には、皆んさんのお怒りが爆発!
でも、無事に帰ってきたら『シン君、ごめんね』って謝るつもりだったの。
許してあげてください。


最後の方は、ジェハとエジンの言い訳ばっかで、疲れましたね!

あ~、いつもこうやって、くどくなっちまうんだよなぁ・・・
(ノД`)・゜・。


何はともあれ、この二人は、終了します。
書庫二つ分、みっちり頑張ってくれました。
パチパチパチ・・・、お疲れさ~ん \(^o^)/


そして~
最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました!
コメントも、ナイスポチも、とっても励みになってます!

嬉しい、!(^^)! 嬉しい、!(^^)!

感謝,感謝、感謝~~~


さてさて・・・

次ですね・・・


次も、ご用意致します。

いつもいつも、くどくど煩いので、ここは黙っておきます。
本当はね、いっぱい言い訳したいのよ!
あ~だの、こ~だの、色々謝りたいことも!!!

でも、黙ってスタートします。
言い訳と謝罪は、その都度・・・。

いきなり第一話から、ちゃぶ台ひっくり返す人、続出かも・・・。
|д゚)

キリの良いところで、2月1日スタートします。

内容に懸念があるので、ファン限定公開にします。
大人表現とは別の意味なのですが、管理人としては、気になるところもあるので。




あとですね・・・、一つ提案がありまして・・・

私、鍵コメントの方にリコメする時は、
○○日/○○時○○分鍵さん・・・と呼びかけていますが、
それでは、分かりにくくないですか?大丈夫ですか?
そのままで良ければ、別にかまわないのですが・・・

もしも、『呼びかけネーム』の希望があれば、教えてください。
自分に対するリコメ、その方が分かりやすいかと思ってね。

余計なお世話、だったかな?


では・・・、
新しいお話で会いましょう!

10年目のバレンタイン

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1人、バレンタイン企画です。
皇太子じゃないシン君・・・初めて(*´▽`*) 

ありがちなストーリー、ありがちな展開・・・
急いだもので・・・、申し訳ない!


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ははは・・・、なんか、このチョコ、変な味がする・・・
彼に渡さなくて、良かった・・・ははは・・・


公園のブランコに揺られながら、自分で作ったチョコを自分で食べているチェギョン。
涙が頬を伝っていた。


「お姉ちゃん・・・どっか、痛いの?」

泣いているチェギョンに声をかけたのは、小さな男の子だった。

「え?別にどこも痛くないよ。」
「でも、泣いてる・・・。」
「なんかね・・・、チョコが苦くて・・・。」
「チョコは甘いでしょう?」
「でも、これ・・・、失敗作なの・・・。」
「お姉ちゃんが作ったの?」
「そうなのよ、お姉ちゃん、料理下手くそで・・・。」
「どんな味?食べてもいい?」
「お腹を壊したらいけないから、食べない方がいいわ。」
「え~、試してみたい!ちょうだい!」
「仕方ないわね・・・、じゃあ、一個だけよ!」


トリュフ風のチョコを、あ~んと開けた男の子の口に入れたチェギョン。
男の子の顔つきが一瞬固まったと思ったら、直後には、満面の笑みになっていた!

「うわ~、美味しい!お姉ちゃん、もう一個!」
「え?そんなに、美味しい?へんだなぁ・・・、さっきは可笑しな味が・・・。」
「お姉ちゃん、泣いていたからだよ。」
「え?」
「泣くとね!美味しいものも、美味しくなくなるんだよ!」
「そう、なの?」
「ほら、今度は笑ってから食べてごらんよ!」

チェギョンは、もうひとつ、チョコを口に入れた。


「ホントだ・・・、とっても甘い。」
「ほらね!」

二人はニッコリと微笑み合った。




「チェギョン!」
「あ・・・。」

佇む男子は、可愛らしいラッピングの箱を手にしていた。
それを目にして、チェギョンは顔を背けた。


「な、なんか用?」
「それ・・・、本当は僕に・・・。」
「ち、違うわよ!これは・・・、自分へのご褒美だもの!」
「怒ってるのか?」
「別に・・・。」
「せっかく用意してくれたのに、断るなんて悪いだろう?受け取るだけなんだし・・・。」
「そうやって、いつも言い訳ばっか・・・。」
「何だよ?」
「この間も、頼まれたからって、デートしたりして・・・。」
「あれは・・・、仕方なく買いものに付き合っただけだ!泣きそうな顔されれば、断れないよ。」
「私と付き合ってるのに、他の子とデートなんて・・・。いつだって、他の子にいい顔しちゃって、私のことなんて、どうでもいいんでしょう?」
「そんなこと無いよ!僕にはチェギョンが一番だ!」
「私が一番になったことなんて、一度もないじゃない!」
「チェギョン・・・。」

「あの子のことが好きじゃないなら、『彼女が居るから付き合えない』って言えばいいでしょう?チョコも、受け取れないって断るべきよ!受け取ったら、気持ちがあるみたいじゃないの!」
「・・・。」
「デートの時だって、チョコを受け取る時だって、すっごく嬉しそうな顔して・・・。私のことなんて、忘れてたんでしょう?」
「そんなこと無いよ!」
「私・・・、知ってるのよ。」
「え?」
「他にも居るでしょう?あの子以外にも・・・、デートしてる子、居るでしょう?」
「そ、それは・・・。」
「私、そういうの、イヤなの。もう、別れるわ!」
「チェギョン・・・、そんなこと言うなよ!」


男子が歩み寄ろうとした、その時。
二人の会話を呆気にとられて聞いていた男の子が、いきなり駆け出した。

男の前に立ちはだかって、両手を広げて行く手を遮った。


「お姉ちゃんに近づくな!」
「なんだ?」
「お姉ちゃんを泣かせるような奴は、許さない!」
「ふんっ、クソガキが!どけろ!」


男子が小さな体を乱暴に払いのけ、男の子は勢いで転んでしまった。


「ちょっと、何するの!相手は子供でしょう?」
「ガキのくせに生意気だ!」
「あんたなんて・・・、大嫌いよ!」
「チェギョン・・・。」
「もう、顔も見たくない!さっさと帰ってよ!」

男子は不貞腐れた顔つきになって、「ちっ。」と舌打ちしてから、その場を去って行った。


「大丈夫?ごめんね・・・。」

男の子を抱き上げて、汚れた膝頭をほろいながら、チェギョンは泣いていた。


「お姉ちゃん、泣かないで・・・。」
「私を守ろうとしてくれて、ありがとう。」
「あんな奴、もう好きじゃないだろう?」
「当たり前よ!大嫌いって言ったでしょう?」
「大きくなったら、僕が優しい彼氏になってあげるから、泣かないで。」
「ふふっ、本当?じゃあ、早く大きくなってね!」


二人で微笑み合って、残りのチョコを分け合って食べた。
チョコがすべて無くなった時、チェギョンの心は甘く満たされていた。



それは10年前のバレンタインの出来事・・・

男の子はその時10歳の小学4年生、名前はシン。
チェギョンは17歳の高校2年生だった。


7歳年下の男の子とは、それから、同じ公園で度々顔を合わせることがあって、その度、言葉を交わしていた。
二人は、歳の差を感じないほど話が合って、いつも会話が弾んでいた。
微笑ましい友情が、育まれて行ったのだ。

そして、次の年から、バレンタインの日には、チェギョンがチョコを持って公園に現れて、シンがそれを受け取ってから、一緒に食べた。

約束するわけではないけれど、それは暗黙のうちに、二人の恒例行事となって行った。


今年は、出合ってから10年目のバレンタイン。

チェギョンは大学を卒業して、広告代理店に就職をして、バリバリのキャリアウーマンとして働いている。

シンも成長して、大学2年生。もう成人を迎えていた。



チェギョンはその日、ある決意をして、手作りチョコを用意した。

「もう、これで最後にしよう。」

年下の可愛らしい男の子だったシンは、今や、チェギョンも驚くほどの好青年に成長している。

いつの頃からか、自分の中で、男を意識する対象になっていて、そんな心の動きに戸惑うこともしばしば・・・。

けれど、7歳も年下の男の子を相手に恋愛なんてあり得ないし、そんな気持ちを知られるのはイヤだった。

いつまでも、シンにとって“気さくなお姉さん”で居たい・・・。


「シン君、相変わらず でっかいわね!もしかして、まだ成長してる?」
「まさか、もう止まったよ!」
「ふふっ、そりゃあ、そうよね!・・・はい、今年のチョコよ!」
「お、今年はどんなかな?」
「ふふふ、10年目の記念だし、シン君も成人したから、ブランデーを使ってみたの!大人の味よ!」
「へ~、酒が入ってるのか・・・、あ、本当だ。ちょっと苦い!」
「ふふふ、シン君には、まだ早かったかな~?」
「何だよ!また、子供だってバカにするのか?」
「だって、私に比べたら、本当に子供だもん!7つも下なんだし・・・。」
「ちっ、また、歳の事か・・・。」


シンは不貞腐れた表情で、口をへの字に歪めている。


「ははは!子供って言われて怒るのは、子供の証拠よ!」
「悪かったな、子供で!」

益々すねるシン。
しばらく、黙り込んでから、徐に口を開いた。



「ヌナ・・・、もう、義理チョコは止めよう。」
「え?」

チェギョンも、そう提案するつもりだった。
だが、シンの方から言われて、少しショックを受けている。


「そ、そうだよね。私も、それがいいと思ってたんだ。これからは、シン君も、たくさん、本命チョコをもらうようになるし・・・、ってか、もう、貰ってるよね?」
「そういうことじゃなくて・・・。」
「私もさぁ、仕事が忙しくて、こんな事してる場合じゃないし、それこそ、真剣に相手も見つけなくちゃね!」
「2年前の男と別れてから、誰とも付き合ってないの?」
「そうなんだよねぇ・・・、ちょっと、間が空きすぎたかな、ははは。」


恋愛のことも、何気に話をしていた。
チェギョンは、シンの初恋の話も聞いている。
年上ぶって、恋愛指南を披露したことも有ったし、逆にチェギョンの失恋をシンが慰めたことも有った。


「僕じゃ・・・、だめかな?」
「へ?」
「初めて会った時、言っただろう?大きくなったら、彼氏になるって・・・。」
「そ、そう・・・だった?」


本当は、はっきりと憶えている。
勇ましい男の子の、優しい口説き文句・・・


「あの時から、ずっと・・・僕はヌナの彼氏になりたいと思ってた。」
「ウソ・・・、だって私、7歳も上だよ。」
「だから、僕なんて相手にされないと思って、気が引けてた。諦めなくちゃいけないと、悩んだことも有った。」
「シン君・・・。」

「初恋の話をしたことあったけど、あれは、本当は二番目、僕の初恋はヌナだから・・・。ヌナへの片思いに区切りを付けようと思ったのに、好きになった子は、ヌナによく似た子だった。」


好きな子が出来たんだ・・・
中学生になったシンから聞かされた初恋の話、チクリと胸が痛かったっけ・・・。


「ヌナに彼氏が出来る度に、僕は拳を握りしめて、必死で我慢してたんだ。僕はまだ子供だから、ヌナを守ってあげられない。ヌナに彼氏が出来ても、僕には文句を言う権利なんてないから・・・。彼氏と別れたって聞くと、ホッとして、涙が出そうだった。」
「シン君・・・。」
「本当は、高校を卒業する時に告白するつもりだったんだ。だけど、大人に近づくと、今度は現実的なことが分かって来て、自信を無くして・・・。だって、そのときもう、ヌナは社会人として働いていて、僕なんて、まだまだ、子供に見えるだろうし・・・。」


中学生の男の子に、男を感じてしまう自分の中の女がイヤだった。
それを否定するように、大学の同期生と恋をして、体を預けた。
でもそれは、恋をしたつもり、なだけ。だから、長続きしなかった。

シンが高校生になって、ますます男らしくなって、恋心は募った。
その時は、仕事で知り合った年上の男と恋愛関係になって、年下の男の子への想いを振り払おうとした。
それも、不純な恋愛だから、続かなかった。


「シン君・・・、シン君はこれから、たくさんの女の子と出会って、楽しく恋をして、本当の愛に巡り合うのよ。私は、子供の頃の思い出のお姉さんだわ。」
「ヌナ、僕は・・・・、もう嫌だ。」
「シン君?」
「もうヌナを、他の男の腕に渡したくない!」
「・・・。」
「ヌナ・・・、僕だって、一生懸命ヌナを忘れようとしたんだ!高校を卒業してから、他の子と付き合って・・・、そういう関係にもなった!」
「!」
「だけど、ダメなんだ!ヌナのことが頭に浮かんで来て、他の子を抱いても、心ではヌナを抱いてるんだ!」
「シン君・・・・。」


思いを振り切るために、他の温もりで心を埋めよとしていた・・・

二人とも、同じように・・・


「来年からは・・・、本命チョコをくれよ。」
「シン君・・・。」
「一年、 考えてくれてもいいから。」
「そんなの・・・、長すぎるよ。」
「ヌナ?」
「私のマンション、知ってるでしょう?」
「うん・・・。」
「今夜、来て・・・。」
「え?」
「このチョコは、義理チョコだから、本命のプレゼントは、別に用意しなくちゃ・・・。」
「本命・・・。」
「来年までなんて・・・、私の方が・・・、待てない。」
「ヌナ!これからは、チェギョンって呼ばせてくれ!」



出社や帰宅の時間がまちまちで、家族の生活ペースを乱してしまうため、2年前から、近くのマンションを借りて、一人暮らしをしていた。

その部屋に男を入れるのは、初めて・・・。



先の事は分からない。
これからシンは、若い女の子と出会って、そちらになびいてしまうかもしれない。
けれど、そんなことを考えていたら、想いはいつまでもくすぶって、後悔を抱えた人生になるだろう。


今はこんなに求めてるのだから、思いのたけをぶつけたい。
今までの、10年分の想いを込めて、二人の時間を過ごしたい!




年下の男の体は、チェギョンを虜にする味だった。


ああ・・・SEXって、こんなに気持ちいいんだ・・・



「チェギョン・・・、チェギョンの体・・・、すごく甘い!」



ああ・・・それはきっと、微笑みながら食べているから・・・






~~~バレンタイン記念作品~~~




ははは、初めての企画 (-。-)y-゜゜゜


『木漏れ日…』は一回お休み。

完結御礼♪~『木漏れ日の記憶』

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昨日、『木漏れ日の記憶』全20話、完結致しました。

最後まで読んで頂いた皆様、ありがとうございました。

シン君の初恋、ファーストキスの相手がチェギョンじゃなくて、
心を痛めた方も居たかもしれません。
ごめんなさい。

最初から、『うぷぷ・・・これは・・・』と、見破っていた方もたくさん!(爆)

まあ、当たり前と言えば当たり前かも・・・シン&チェの物語だし、
アタクシは、ハッピーエンド至上主義だからね!

後半は、短く刻んでなかなか進まず、申し訳なかったです。

管理人としても、やっと終わったと言う感じです。


コメントもたくさん頂いて、とても有難く、
特に今回は、推理してくれる人がたくさん居て、楽しかった♪

いや~ん!言い当てないで~!!って、ニヤニヤ悶えていたの(爆)


やっぱりアタシは、Mなのか?



もっと面白いお話が書けて、推理に花が咲くようならいいのに・・・。
と思う、今日この頃・・・。

でも、妄想も限界に来ている気がするのです。


次回作、書いていたのですが、どうにも進みません。

次回はね・・・
シン君が『俺』って言ってます。
しっぽな作品では、初めてなの。

だから、キャラ設定が曖昧で、書いているうちにシン君の人格が変わっていく。
慌てて修正して、また書いているうちに、変な方向に・・・
収拾つかなくなって、思い切ってバッサリ削除!

こんな事をしていたら、全然お話が進まない・・・

なので、しばらくお休みします。
3月からスタート出来たらいいのですが、自信がない。


もうね・・・、能力の限界なの・・・
新しい皇太子シン君・・・生み出せない・・・
でも、アタシ、皇太子じゃないシン君、書くの苦手で・・・


まあ、お気楽に、書けたら書きますわ~!

ということで・・・

どうぞ、お元気で~~

(^.^)/~~~



お知らせ♪

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皆様、こんにちは。お元気でしょうか?

2月は28日までしかないので、あっという間に3月が来てしまいます。
季節はどんどん進んで行きます。
ちょっと、焦ります。

本日と明日、旭川市でスノーボードのワールドカップが開催されていて、
旭川出身のオリンピックメダリスト竹内智香さんも出場します。

たしか、竹内さんは今日のパラレルジャイアントスラロームに出場のはず。
本当は見に行きたかったのだけれど、昨夜飲み過ぎて、頭が痛くて、断念。

失敗したな・・・お天気もいいのに・・・


さて、お話についてですが、明日3月1日新作をスタートしようかと思います。

以前お知らせした通り、シン君が『俺』って言ってます。

これはどうなのかな・・・という内容なので、ファン公開にしますね。

なるべくテンポよく更新したいのですが、
もしかしたら途中で止まるかもしれません。

相変わらず書き直しが激しくて、困っているものですから・・・

タイトルは『俺の女』・・・あれ?
僕のお妃、とかいうのあったよね?かぶってる?

まあ・・・気付かぬふりでお願いします(爆)



シン君がね・・・お気に召さないかも・・・
そこは、苦情、受け付けますよ!
M だ・か・ら!(爆)


ああ、そうそう!
今、悩みをひとつ抱えているの。

妄想用のハンドルネームを変えようと思って。
何か、いい名前ないでしょうかねぇ・・。



では、明日まで、しばしお待ちを~~~


(^.^)/~~~



ハンドルネーム変更のご挨拶♪

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この度、ハンドルネームを変更致しましたので、
改めて、ご挨拶申し上げます。

旧ネーム改め、小夜乃(さよの)と申します。
今後とも、よろしくお願い致します。

こちらのブログは、
韓国ドラマ『”宮” Love in Palace』の二次小説
を公開している館です。

パラレルストーリーを勝手に妄想して、
シン&チェをいじり倒しております。

イメージに合わないと思われたら、すぐに退室願います。

出来るだけ一般公開したいと思っていますが、
表現が過激になったり、展開が恥ずかしい時は、
ファン限定とするお話もございます。

その場合、お気に入り登録をしなければ、
お読みになることが出来ません。

以前は、登録時、ゲストブックに一言お願いしていましたが、
今後は、登録・解除はご自由になさってください。
登録の挨拶も必要ございません。

今後、リアル生活が忙しくなり、
登録のお礼やリコメが滞ることになりそうです。

失礼を致しますが、ご了承ください。

コメントはいつも有難く拝読させて頂いています。

今まで、不快なコメントは一切ありませんでしたが、
今後、誹謗中傷や他読者を傷つけるコメントがあった場合、
管理人の判断で削除させて頂くこともございます。
あらかじめ、ご了承ください。

こちらは別館・・・ということは、本館がございます。
本編の続編的シン&チェの妄想です。

小夜乃天心(さよのてんしん)…”宮”妄想の本館
よろしかったら、そちらもどうぞ♪


いつも、ご訪問頂いている皆様、
本当にありがとうございます。

心からの感謝を込めて・・・

チュッ・・_(^。^)


『俺の女』完結御礼!

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皆様、こんにちは。
昨日、『俺の女』全36話、完結致しました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
最後の最後になって、いきなり更新間隔が空いてしまい、
申し訳ありませんでした。

本当は、もう少しテンポよくアップ出来るはずだったのですが、
実はこのお話、スタートした途端に書き直しを始めてしまって予定が狂ったのです。

20話ほど出来上がっていたので、更新しながら続きを書いて行けば間に合うだろうと高を括っていましたが、シン君のキャラがどうにも気に入らなくなって、
それで書き直しを始めたら、追いつかれちゃって・・・。

ラストを考えていなかったので、焦りました。
どうやって終わらせようかと、悩んでいるうちに、
私生活が大変なことになって、妄想の時間も無くなって、アイディアも枯渇して、
やっとの思いで仕上げました。

アルフレッドに泣きを入れて、助けてもらって、何とか終れたのよ!

と言う訳で、二人が結ばれる前に、終了・・・

まあ、心はがっちり繋がっているから、いいでしょう?
許してくださ~い!


コメントもたくさん頂き、ありがとうございます。
リコメ出来なくて、ごめんなさい。
とても励みになっていたのに、ろくにお礼も言えなくて、
本当に申し訳ありませんでした。


実は、このお話を早く終わらせたかった理由があって、
それは、今、妄想しているお話に集中したいから。

ゆっくりじっくり妄想している物で、頭の中ではかなりできあがっているのだけれど、文章にすることに苦労してるの。
内容は本編をなぞるようなものだし、少し暗くて、シン君もイヤな奴にするつもりなので、もしかしたら、公開しないかもしれません。

公開する気になったとしても、お話の流れが大筋で決まってからになるだろうし、
それは、遠い先になりそうだし、個人的に楽しみたい気もするし・・・

そんなで、私の妄想は、自分の世界に浸ることになりそうなの。



だから・・・

皆様の前に出現するのは、おそらく、遠い夢の先かも・・・・


とにかく、このブログは、しばらくお休みになります。

いつかまた、お会い出来たら良いのですが、自信がありません。


みなさま、どうぞお体に気をつけて、お元気で居てください。

私が生きているかどうか、気になる方は、
「しっぽなのうつうつ」を検索したら、図々しく生きています!(爆)

では、では・・・

いつの日か、また・・・(^.^)/~~~

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こんな風に、妄想ブロガーさんの所は、時々覗きに行きますよ!




お話ではありません・・・登場人物の整理!

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『愛を継ぐ者』登場人物
 
皇帝イ・ブラム(先帝 世祖帝)
皇后バク・スジャ(後に皇太后 太皇太后となる)
 
元皇太子イ・ス (孝烈皇太子、36歳の若さで急逝)
元皇太子妃ソ・ファヨン(恵政宮のちに恵政殿 イ・ヒョンの同級生)
元世継ぎの皇子イ・ユル(義聖君のちに義聖大君 シンより2か月遅れて誕生)
 
現皇帝イ・ヒョン(元は大君のちに皇太子となり直ぐに即位 兄より4歳年下)
皇后ミン・ミナ(元は大君妃 夫より2歳年下)
公主 イ・ヘミョン(シンより1歳年上)
現皇太子イ・シン(5歳で冊立)
 
ミナの友人 オ・オヨン
 
王族イ・ハンソル
ハンソル夫人ソク・ダナ
 
皇太子の許婚シン・チェギョン
チェギョンの祖父シン・ウンナム
      父シン・ナムギル
      母イ・スンレ
      弟シン・チェジュン
 
シンの友人
カン・イン   電子会社の会長の次男
チャン・ギョン 航空会社の会長の長男
リュ・ファン  海運会社の会長の長男
 
ミン・ヒョリン カン・インの幼馴染み
 
 
チェギョンの友人
イ・ガンヒョン チェギョンの親友
ユン・ヒスン  クラスメートで皇室マニア
キム・スニョン クラスメートで皇室マニア
 
ヌンミ・・・チェギョンの隣のクラスの同級生



お久しぶりです~♪
お元気ですか?


こんな感じで妄想してるんです。
今、20話を超えて、まだシン&チェはまともに話もしていません。
どうなることやら・・・

少しずつ、公開しようか?という気にもなっています。


リコメ出来ない場合、コメ欄は閉鎖した方が良いのかな~?

明日あたり、言い訳の記事を入れて、
お話スタートは、週末かなぁ・・・

では、また!
(^.^)/~~~

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